平成17年度1次試験解答:中小企業経営・中小企業政策
設問6
解答:設問1:エ 設問2:エ 設問3:イ
(設問1)
2004(平成16)年版中小企業白書 第2-2-2図 海外子会社を保有している企業割合(〜中小企業で漸増傾向〜)より
(ア) | 海外現地法人を保有する中小企業の比率の上昇傾向は、製造業よりも非製造業で顕著である。 →×:海外現地法人を保有する中小企業の比率の上昇傾向は製造業において顕著である。 |
(イ) | 海外現地法人を保有する中小企業の比率は同期間に約4倍に増加し、大企業の比率に近い水準になった。 →×:中小企業においては、6.0%から9.3%に増加しているものの4倍には達していない。また依然として、大企業の比率には達していない。 |
(ウ) | 海外現地法人を保有する中小企業の比率はとくに1998年以降大きく上昇した。 →×:中小企業で海外子会社を保有している企業割合は漸増傾向である。すなわち1998年以降大きく上昇してはいない。 |
(エ) | 海外現地法人を保有する中小企業の比率はほほ一貫して上昇しており、上昇のペースは大企業とほぼ同じである。 →○:海外現地法人を保有する大企業の比率と中小企業の上昇の比率は約3%と、ほぼ同じである。 |
(設問2)
2004(平成16)年版中小企業白書 第2-2-6図 中小企業の海外現地法人数の地域別割合(2001年度)より
2001年度における中小企業の海外現地法人の地域別構成を見ると、最も多いのは【A:北米・ヨーロッパ】であり、【B:東南アジア(シンガポールを含む)】がそれに続く。
(設問3)
2004(平成16)年版中小企業白書 第2-2-8図 中小企業の地域別海外進出目的(〜地域により異なる進出目的〜)より
(ア) | 外国からの投資の受け入れに関する規制が緩和され、制度の透明化が進んだ。 →○:中国への直接投資では、2001年のWTO加盟に向けた投資受入規制緩和を契機に、直接投資関係の諸規制の透明化が進んだ。 |
(イ) | 現地労働者の低賃金よりも現地の販売市場を目的とする直接投資が増加した。 →×:中国への直接投資の理由としては、安価な製品を輸入し、コスト削減を図るためという理由が最も多い。これはすなわち現地労働者の低賃金が最大の理由である。 |
(ウ) | 直接投資の増加に伴って、高度な技術やノウハウが伝達されるようになった。 →○:直接投資の出資形態には自社の出資比率が100%の独資方式と複数の企業で出資を行う合弁方式がある。合弁方式と独資方式を比較すると、合弁の場合、合弁パートナーとなる相手国法人から日本と異なる商慣習等の知識を吸収できるというメリットがある。一方でパートナーとのトラブルが発生する可能性があり、さらに、パートナーとなる企業へ自社の技術・ノウハウ等の経営資源が漏出するおそれがあることから、企業にとって貴重な技術・ノウハウの移転を伴う直接投資は難しい等のデメリットがある。 |
(エ) | 直接投資の増加に伴って、現地の商慣習等が理解されるようになった。 →○:中国で合弁方式が選択されてきた一因は日本と中国で商慣習等が大きく異なっている為である。現地の商慣習等への理解が広まれば独資方式の選択の可能性が高まる。 |
設問7
解答:設問1:ウ 設問2:エ
(設問1)
需要が【A:不均質化】するほど【B:規模の経済】が働きにくくなり、中小企業が存立しやすくなる。
規模の経済とは、事業規模が拡大するにつれて購買力が向上したり、製品当りの固定費負担が減少したりすることによって平均単価・平均費用が減少する結果、利益率が高まる傾向のことである。規模の経済を発揮するためには、需要が均質的で安定しているのが望ましい。よってウが解答である。
(設問2)
経済環境の変化が大きいほどさまざまな関連業務を【C:内部化】することが不利になり、大企業の優位性は相対的に【D:低下】する。
経済環境の変化が小さいと、さまざまな関連業務を内部化(自社で保有)している大規模企業の方が有利になってしまう。すなわち経済環境の変化が大きいほど中小企業には有利である。よってエが解答である。
設問8
解答:設問1:ウ 設問2:エ
(設問1)
以下に選択肢の各用語の説明を記す。
- (ア)機会費用
- ある行動を選択したために諦めざるを得なかった別の行動から得られたはずの利益
- (イ)固定費用
- 財・サービスの生産量にかかわりなく、つねに一定額だけは支払わねばならない費用
- (ウ)探索費用
- 商品決定と購入場所の決定に要する費用
- (工)埋没費用
- 一旦投資を行うと、もはや回収のできない費用
よって(ウ)探索費用が解答である。
(設問2)
商店が集積して立地すれば、(エ)より遠方からより多くの消費者を集めることができる。
設問9
解答:ウ
小売業の機能は、基本的機能と補完的機能に区分することができる。基本的機能は、消費者の【A:最大公約数的な】ニーズを充足する商品の品揃えとサービスを提供する機能である。 補完的機能は、【A:最大公約数的な】ニーズを超えて、より多様化されたニーズを充足し、より高品質な商品を提供し、また配達やアフターサービス、商品情報の提供などきめ細かなサービスを捷供する機能である。一般的に見ると、大型店が主に【B:基本的機能】に対応する小売業態であるのに対して、中小小売業には【C:補完的機能】を果たすことが期待されている。
よって(ウ)A:最大公約数的な B:基本的機能 C:補完的機能が解答である。
←問題に戻る設問10
解答:設問1:エ 設問2:オ
a | 熟練技能の継承問題の深刻化 →×:技能は特許の対象とならない。また熟練技能の継承問題の深刻化は人材育成における課題であり、特許戦略とは関係がない。 |
b | 経済のグローバル化の進展 →○:グローバル化による東アジア諸国との競合や商品ライフサイクルの短縮化により競争環境が厳しくなる中で、中小製造業において新製品の導入に際しては高付加価値、低コスト化等の技術革新性が以前より増している。すなわち特許を含む知的財産の活用が重要になってくる。 |
c | 多品種少量生産の進展 →×:特許の取得と維持には費用がかかり多品種少量生産には適さない。 |
d | 脱下請化の進展 →○:脱下請化の進展によって、製品の高付加価値につながるので、中小企業の特許の取得・活用戦略の原因となる。 |
よって(工)bとdが解答である。
(ア) | 学習効果(経験効果)が強く働く分野の技術成果は、特許出願されにくい。 →○:学習効果(経験効果)が強く働く分野の技術成果は、確かな成果をあげるまでに時間を要する。そのような技術成果は、審査期間が長い特許には向かない。 |
(イ) | 技術進歩が早く、基幹的技術が変化しやすい分野の技術成果は、特許出願されにくい。 →○:技術進歩が早く、基幹的技術が変化しやすい分野の技術成果、特許の審査中に陳腐化する恐れがあるので特許出願されにくい。 |
(ウ) | 生産の準備に時間のかかる製品に関わる技術成果は、特許出願されにくい。 →○:生産の準備に時間のかかる製品は、生産方法自体が広まりにくいので特許出願されにくい。 |
(工) | 製品のライフサイクルが短い分野の技術成果は、特許出願されにくい。 →○:製品のライフサイクルが短い分野の技術成果は、特許の審査中に製品のライフサイクルを終えていることがある為、特許出願されにくい。 |
(オ) | プロセス・イノベーションの成果と比べてプロダクトイノベーションの成果は特許出願されにくい。 →×:イノベーションとは、技術革新のことである。イノベーションを大別すると、生産技術面のいわゆるプロセス・イノベーションと、製品開発面のプロダクト・イノベーションに分けることができる。プロダクトイノベーションの成果は特許出願しやすくプロセス・イノベーションが特許出願しにくい。 |