平成16年度1次試験解答:中小企業経営・中小企業政策
設問6
解答:エ
企業間信用とは、商品の納入と代金の支払いをずらすことによる企業間での貸借関係のこと。この際には手形が振り出されることが多い。具体的には掛売りや掛買いなどの商取引がこれにあたる。
中小企業白書 2003年版 企業間信用より
第2-3-61図 企業間信用割合(業種別)〜業種により特性がある企業間信用の利用〜より
第2-3-57図 企業間信用割合の推移(従業員規模別)〜長期的には下落している企業間信用〜より
a | 運転資金より設備投資資金に影響しやすい。 →×:企業間信用とは、支払手形+買掛金である。これは支払いサイトに影響を受け、運転資金に影響を与える。すなわち設備投資資金より運転資金に影響しやすい。 |
b | 卸売業、建設業で特に多く利用されている。 →○:上記第2-3-61図より企業間信用は業種ごとに利用度合いが異なっていることが分かる。すなわち建設業や卸売業で多く利用されている。 |
c | 買掛金と支払手形の合計として理解されることが多い。 →○:企業間信用=支払手形+買掛金とされる。 |
d | 総資産に対する比率は近年低下傾向にある。 →○:上記第2-3-57図より総資産に占める企業間信用の割合は長期的には企業間信用の減少が進んでいる。 |
e | 総資産に対する比率は従業員規模が小さいほど高い。 →×:上記第2-3-57図より総資産に対する比率は従業員規模が小さいほど低い。 |
よって(エ)b とc とd が解答である。
←問題に戻る設問7
解答:設問1:ウ 設問2:ウ
2003(平成15)年版中小企業白書 8表 法人企業の主要財務・損益状況と財務営業比率(中央値)より
(設問1)
下記の様にサービス業だけ大企業の方が付加価値率が高い。よって【 A 】には、(ウ)サービス業が入る。
中小企業 | 大企業 | |||||
11年 | 12年 | 13年 | 11年 | 12年 | 13年 | |
全産業 | 27.9 | 28.1 | 27.3 | 21.2 | 21.0 | 20.5 |
製造業 | 28.4 | 28.1 | 27.5 | 23.1 | 23.0 | 22.3 |
卸・小売業 | 15.6 | 15.6 | 15.1 | 13.9 | 13.8 | 13.6 |
サービス業 | 36.4 | 36.8 | 35.9 | 40.2 | 38.9 | 38.0 |
建設業 | 22.3 | 22.6 | 22.3 | 15.5 | 14.8 | 14.9 |
(設問2)
中小企業の付加価値率を業種別に高い順に並べると、サービス業→製造業→建設業→卸・小売業となる。よって【 B 】には、【(ウ)サービス業、製造業、建設業、卸・小売業】が入る。
中小企業 | ||||
11年 | 12年 | 13年 | 平均 | |
製造業 | 28.4 | 28.1 | 27.5 | 28.0 |
卸・小売業 | 15.6 | 15.6 | 15.1 | 15.4 |
サービス業 | 36.4 | 36.8 | 35.9 | 36.3 |
建設業 | 22.3 | 22.6 | 22.3 | 22.4 |
設問8
解答:イ
中小企業白書 2003年版 第2-4-26図 中小企業の産学官連携における相手先より
中小製造業の連携の相手として(イ)公設試験研究機関(52.7%)、次いで国立大学(43.1%)が最も多い。
設問9
解答:設問1:オ 設問2:オ
(設問1)
「産地」とは、中小企業の存立形態のひとつで、同一の立地条件のもとで、同一業種に属する製品を生産し、市場を広く全国や海外に求めて製品を販売している多数の企業集団のことである。
(ア) | 大企業の事業所を中心に、緊密な取引関係のネットワークが形成されている。 →×:大企業の事業所を中心に緊密な取引関係のネットワークを形成するのは企業城下町である。 |
(イ) | 多様な業種の企業が集積し、異業種企業間で活発な情報交換が行われている。 →×:産地とは多様な業種の企業が集積するのではなく同一業種の企業が集積する。 |
(ウ) | 地域のニーズに密着した製品が生み出されている。 →×:市場を特定の地域に限定しない |
(エ) | 伝統的工芸品の生産に特化した熟練技能を存立基盤としている。 →×:伝統的工芸品の生産に特化した熟練技能を存立基盤としていない。 |
(オ) | 同業種や関連業種の中小企業の間で分業が発達している。 →○:産地集積のメリットとして適切な分業体制が築かれる。 |
a | 東京都大田区 | ×:誤り |
b | 北海道室蘭市 | ×:誤り |
c | 茨城県日立市 | ×:誤り |
d | 新潟県燕市 | ○:金属洋食器、金属ハウスウェアなど |
e | 福井県鯖江市 | ○:眼鏡枠など |
f | 兵庫県西脇市 | ○:綿スフ織物 |
よって(オ)d とe とf が解答である。
設問10
解答:オ
中小企業白書 2004年版 (2)コミュニティ・ビジネスの定義より
コミュニティ・ビジネスは、組織形態や事業分野が多岐にわたるため定義付けが難しいが、これまで文献等で紹介されている特徴のうち主な共通点としては、 次のものがある。
- 地域住民が主体である
- 利益の最大化を目的としない
- コミュニティの抱える課題や住民のニーズに応えるため財・サービスを提供する
- 地域住民の働く場所を提供する
- 継続的な事業または事業体である
- 行政から人的、資金的に独立した存在である、等
また、コミュニティ・ビジネスはNPO法人が8割を占める。
中小企業白書 2004年版 第2-1-79図 団体の組織形態より
(ア) | これまで地方自治体が行ってきた事業を、市民団体が代行している。 →×:行政から人的、資金的に独立した存在であり、地域住民が主体となり行う。 |
(イ) | 事業活動の内容は、福祉・教育サービスにほぼ限定される。 →×:コミュニティ・ビジネスの活動は、@福祉、保健、医療 A青少年教育 B環境 Cまちづくり D就業支援、E地域資源活用 F災害支援 G観光、交流 H文化、芸術、スポーツ など多種多様にわたる。すなわち福祉・教育サービスに限定されない。 |
(ウ) | 地方自治体が所有し、運営に責任を持つ。 →×:行政から人的、資金的に独立した存在である。 |
(エ) | ボランティア活動に依存するため、継続的な事業ではない。 →×:継続的な事業または事業体である |
(オ) |
利益の最大化を目的とせず、多くはNPO 法人の活動によって支えられている。 →○:正しい。コミュニティ・ビジネスの組織形態の約8割がNPO法人である。 |