平成21年度1次試験問題:経済学・経済政策
設問11
下表は、2国(日本とアメリカ)・2財(X財とY財)モデルを前提として、各国におけるX財とY財の生産費用をそれぞれの通貨で表示したものである。いま、完全競争と自由貿易を仮定し、価格=費用が成立すると考える。現在、日本では、X財1単位が500円、Y財1単位が1,000円で生産され、アメリカではX財1単位が10ドル、Y財1単位が5ドルで生産されている。
このとき、下表から得られる説明として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
| 日 本 | アメリカ | |
| X財1単位の生産費用 | 500円 | 10ドル |
| Y財1単位の生産費用 | 1,000円 | 5ドル |
| a | アメリカX財、日本はY財にそれぞれ比較優位を持つ。 |
| b | 為替レートが1ドル=50円から1ドル=200円の範囲内に決まれば、比較優位に基づく貿易が可能となる。 |
| c | 為替レートが1ドル=250円の場合、日本はX財とY財をともに輸入することになる。 |
| d | 日本のX財とY財の価格がともに2倍になれば、比較優位に基づく貿易を可能とする為替レートは1ドル=100円から1ドル=400円の範囲内に決まる必要がある。 |
【解答群】 (ア) aとb (イ) aとc (ウ) bとc (エ) bとd
設問12
各事業者の効率化の度合いを相対的に評価し、効率的な事業者を基準に、非効率的な事業者に対して適正な目標値まで効率化を進めるよう促す競争原理の考え方がある。この考え方は、規制下に置かれた産業への競争促進策として、これまで活用されてきた。この競争原理を表す言葉として最も適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) クリームスキミング (イ) モラルハザード (ウ) ヤードスティック (エ) レントシーキング
設問13
生産関数ならびに総費用関数について、以下の設問に答えよ。
(設問1)
下図のように実線で表される生産関数を持つ企業を考える。最も生産効率の高い点はどれか。最も適切なものを下記の解答群から選べ。

【解答群】 (ア) a点 (イ) b点 (ウ) c点 (エ) d点
(設問2)
次に、下図のように実線で表される総費用関数を持つ企業を考える。ここで、総収入線が太い直線αで表されている。利潤の観点から最適な点はどれか。最も適切なものを下記の解答群から選べ。

【解答群】 (ア) A点 (イ) B点 (ウ) C点 (エ) D点
設問14
人々は、さまざまな状況においてサーチ(探索)を行う。安い価格を提示するガソリンスタンド探し、魅力的な就職先探しなどである。このようなサーチのコストに関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
| a | サーチコストが高いときには、サーチ対象となる商品の価格分散が大きくなる。 |
| b | サーチコストが高いときには、サーチ対象となる商品の価格分散が小さくなる。 |
| c | 商品の価格分散が大きいほど、よりサーチコストをかけるインセンティブが働く。 |
| d | 商品の価格分散が小さいほど、よりサーチコストをかけるインセンティブが働く。 |
【解答群】 (ア) aとc (イ) aとd (ウ) bとc (エ) bとd
設問15
サブプライムローンを組み込んだ金融商品は、そのリスクが十分に認識されないまま、高いリターンを生むものとして積極的に販売された。販売する側にとって、リスク性の認識にかかわらず売れる商品を積極的に販売することは合理的な選択であった。しかし、そのような金融商品の販売量が増大して、リスクが経済全体に蓄積していることがひとたび認識されるようになると、経済全体に大きな悪影響を与えるようになった。このように、ミクロ(企業行動)の視点では正しいとしても、それがマクロ(集計量)の世界では意図しない結果が生じることを表す言葉として最も適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) 合成の誤謬 (イ) 合理的期待形成 (ウ) シグナリング効果 (エ) スピルオーバー効果
