平成20年度1次試験問題:経済学・経済政策
設問16
いわゆるサブプライムローン問題が大きな問題となっている。金融機関が不良債権を抱えた場合、一定の自己資本比率を維持するために必要な方策として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a | 貸し出しの減少 |
b | 貸し出しの増加 |
c | 他社による当該金融機関への資本注入 |
d | 他社の株式購入 |
【解答群】 (ア) aとc (イ) aとd (ウ) bとc (エ) bとd
設問17
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
下図の直線で示される海辺で、2店のアイスクリーム屋(X店とY店)が営業をしている。それぞれの店は最適な立地を探して、下図の直線状に位置する場所に店を構えることができるとする。ここで、競合相手より右の方に立地した店は、その店から右の客をすべて獲得できるとする。同様に、左の方に立地した店は、その店から左の客をすべて獲得できるとする。2つの店の間の客については、その中間点より自店に近い客を獲得できるとする。また、海水浴客は海辺に均等にいると想定する。
例)
もしX店がB地点に、Y店がD地点に店を構えると、X店はA地点からC地点の客を、Y店はC地点からE地点の客を獲得できる。(海辺の長さを均等に4分割し、左から順にAからE地点としている。)
(設問1)
もしX店が先にA地点に立地したとすると、Y店にとって最も望ましい立地はどこか。
【解答群】 (ア) A地点のやや右(X店の右隣) (イ) B地点 (ウ) C地点 (エ) D地点 (オ) E地点のやや左
(設問2)
ここで、両店にとってナッシュ均衡となる地点はどこか。最も適切なものを選べ。
【解答群】 (ア) A地点で隣り合わせに立地 (イ) B地点で隣り合わせに立地 (ウ) C地点で隣り合わせに立地 (エ) D地点で隣り合わせに立地 (オ) E地点で隣り合わせに立地
設問18
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
消費と余暇に関する、ある労働者の当初の予算制約式が次のように与えられているとする。
C=w×(24−L)
ここで、Cは消費、wは時間当たりの賃金、Lは余暇時間とする。労働者は、余暇時間以外の時間に働くとする。下図のように、人々は消費と余暇に関する無差別曲線と予算制約式により、最適な労働時間と消費水準を決定する。ここで、この労働者の初期の最適点はE点で与えられている。
(設問1)
賃金が低下し、予算制約式が変化して、下図のように点線で与えられたものとする。このとき、新たな最適点はE′点となった。余暇の時間に対する所得効果と代替効果に関して、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
【解答群】 (ア) 所得効果の影響より、代替効果の影響の方が大きい。 (イ) 代替効果の影響より、所得効果の影響の方が大きい。 (ウ) 所得効果の影響と代替効果の影響は同じである。 (エ) 所得効果と代替効果、双方とも存在しない。
(設問2)
もともとの最適点がE点で与えられている。政府の福祉政策により、所得水準がある一定水準以下の労働者に対して給付金が出ることになった。この場合、労働者が新たに選択する消費と余暇の時間の組み合わせに関して、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
【解答群】 (ア) 消費は上がって、労働時間を増やす。 (イ) 消費は上がって、労働時間を減らす。 (ウ) 消費は同じで、労働時間も変わらない。 (エ) 消費は下がって、労働時間を増やす。 (オ) 消費は下がって、労働時間を減らす。
設問19
ある会社の製品に対する消費者行動に関して、以下のような統計データが得られ
た。ここで、Daは自社製品への需要、ADaは自社製品に対する広告額、Paは自社
製品の価格、Pbは競合他社製品の価格、wは経済全体の賃金上昇率とする。それ
ぞれの変数のパラメーターはすべて統計的に有意であるとする。
Da=−12+0.4ADa−4.2Pa+3.4Pb−3.2w
この統計データの説明として、最も不適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) 競合他社製品の価格の上昇は、自社製品の需要に好影響を与える。 (イ) 広告は需要に好影響を与える。 (ウ) 自社製品の価格の上昇は、需要に悪影響を与える。 (エ) 所得が高まれば需要が増える。