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平成16年度1次試験解答:経済学・経済政策

設問11

解答:ア

ナッシュ均衡は、他のプレーヤーの戦略を所与とした場合、どのプレーヤーも自分の戦略を変更することによってより高い利得を得ることができない戦略の組み合わせである。よって解答はアである。

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設問12

解答:設問1:ウ(b とc) 設問2:ア(a とc)

(設問1)

 ローレンツ曲線とは、一国内の所得配分が公平であるかどうかを示す手法である。ローレンツ曲線では、所得配分が不平等であるほど、45°線である線ABを離れる、ACBという逆L字型に近づいていく。

A 国は、B 国より所得の不平等度が大きい。
→×:A国は、B国の方が45°線である線ABに近いので不平等度が小さい
A 国は、B 国より所得の不平等度が小さい。
→○:A国は、B国の方が45°線である線ABに近いので不平等度が小さい。
各国における税あるいは社会保障による所得再分配は、それぞれの国の曲線を上方にシフトさせる働きがある。
→○:所得再分配は、所得の不平等を是正することになる。その結果45°線である線ABに向かって上方にシフトする。
各国における税あるいは社会保障による所得再分配は、それぞれの国の曲線を下方にシフトさせる働きがある。
→×:所得再分配は、所得の不平等を是正することになる。その結果45°線である線ABに向かって上方にシフトする

(設問2)
、ジニ係数は45°線である線ABとローレンツ曲線に囲まれた領域の2倍の面積に等しく、この係数が小さいほど不平等度は小さくなる。

人口構成の高齢化に伴い、国全体のジニ係数は高くなる。
→○:高齢化社会は、所得格差を拡大させる。その結果、年齢層が人口に占める割合が高い国はジニ係数は高くなる。
人口構成の高齢化に伴い、国全体のジニ係数は低くなる。
→×:→○:高齢化社会は、所得格差を拡大させる。その結果、年齢層が人口に占める割合が高い国はジニ係数は高くなる
年齢層が高くなればなるほど、年齢別のジニ係数は高くなる傾向がある。
→○:年齢を経るに従い、昇進格差、査定による格差、企業規模による格差などによって同年齢内での賃金格差は大きくなる。よってジニ係数は高くなる。
年齢層が高くなればなるほど、年齢別のジニ係数は低くなる傾向がある。
→×:→○:年齢を経るに従い、昇進格差、査定による格差、企業規模による格差などによって同年齢内での賃金格差は大きくなる。よってジニ係数は高くなる

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設問13

解答:ア(a とc)

  市場需要曲線と私的限界費用によって決定される供給量は、社会全体にとっての限界費用と限界便益が等しくなる水準を上回る。
→○:市場需要曲線と私的限界費用によって決定される供給量(上図@)は、社会全体にとっての限界費用と限界便益が等しくなる水準(上図A)を上回る。
  市場需要曲線と私的限界費用によって決定される供給量は、社会全体にとっての限界費用と限界便益が等しくなる水準を下回る。
→×:市場需要曲線と私的限界費用によって決定される供給量(上図@)は、社会全体にとっての限界費用と限界便益が等しくなる水準(上図A)を上回る。
  負の外部性が存在する場合、所有権を適切に定義することで解決可能なことを示したのが、コースの定理である。
→○:コースの定理とは、「当事者間の交渉に費用がかからない(容易に交渉ができる)という前提においては、当事者間の所有権(財産権)の設定だけ行えば自発的な交渉が行われる結果として、パレート効率的な資源配分が実現し、かつ所有権の設定の仕方は所得分配を変更するだけで実現する資源配分には影響を与えない」というものである。
  負の外部性が存在する場合、政府による直接的な排出量への統制により解決可能なことを示したのが、コースの定理である。
→×:コースの定理では、当事者間による自発的な交渉により解決できるということを示しており、必ずしも政府による介入は必要ではない。
  負の外部性が存在する場合、政府による補助金活用により解決可能なことを示したのが、コースの定理である。
→×:政府による補助金の活用で外部性を是正することは可能である。
しかし、 コースの定理とは、「当事者間の交渉に費用がかからない(容易に交渉ができる)という前提においては、当事者間の所有権(財産権)の設定だけ行えば自発的な交渉が行われる結果として、パレート効率的な資源配分が実現し、かつ所有権の設定の仕方は所得分配を変更するだけで実現する資源配分には影響を与えない」というものである。すなわちeはコースの定理に関する説明ではない

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設問14

解答:イ(a とd)

この理論は、自社製品の価格引下げに対して、ライバル企業が値下げを行うことを想定している。
→○:屈折需要曲線の前提は、自社の値下げ戦略に対しては相手企業が追随することである。
この理論は、自社製品の価格引上げに対して、ライバル企業も値上げを行うことを想定している。
→×:屈折需要曲線の前提は、自社の値上げ戦略に対しては相手企業が追随しないことである。
この理論では、わずかな平均費用の上昇に対しても、企業は価格を変更する。
→×:限界収入と限界費用が企業の行動を決定するのであり、平均費用は関係ない。
この理論では、わずかな限界費用の上昇に対して、企業は価格を変更しない場合がある。
→○:限界費用に影響を与える諸要因が変化しても、限界費用が限界収入の範囲内であるならば、価格は変化しない。

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設問15

解答:ウ(b とc )

 価格弾力性とは、価格の変動によって、ある製品の需要や供給が変化する度合いを示す数値である。

需要の価格弾力性が高いほど、価格の限界費用からの乖離度は大きい。
→×:需要の価格弾力性が高いということは、商品の価格が上昇すれば、その商品に対する需要は減少する割合が高いという事である。すなわち高い価格を設定しにくい為に、価格の限界費用からの乖離度は小さい
需要の価格弾力性が低いほど、価格の限界費用からの乖離度は大きい。
→○:需要の価格弾力性が低いということは、商品の価格が上昇しても、その商品に対する需要は減少する割合が低いという事である。すなわち高い価格を設定しやすい為に、価格の限界費用からの乖離度は大きい。
短期的な供給の価格弾力性より、長期的な供給の価格弾力性の方が大きい。
→○:短期的な供給の場合、雇用量や生産設備の変更が難しい。このため短期の供給の価格弾力性は低い。逆に長期的な供給の場合、雇用量や生産設備の変更が易しく、供給量を大きく変更することができるので価格弾力性は高い。
短期的な供給の価格弾力性より、長期的な供給の価格弾力性の方が小さい。
→×:短期的な供給の場合、雇用量や生産設備の変更が難しい。このため短期の供給の価格弾力性は低い。逆に長期的な供給の場合、雇用量や生産設備の変更が易しく、供給量を大きく変更することができるので価格弾力性は高い。

よってウが解答である。

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