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平成14年度1次試験解答:経済学・経済政策

設問21

解答:イ

 ナッシュ均衡とは、非協力的に行動する企業がお互いに最適な戦略を取り合っている状態のことである。

 設問の利得行列の読み方は、カッコ内の左側の数値がA の利得で、右側がB の利得である。

(ア) ナッシュ均衡は、(平常通り、平常通り)である。
→×:商店Aが「平常通り」を選択している場合の商店Bの最適な戦略は「安売り」である。

(イ) ナッシュ均衡は、(安売り、安売り)である。
→○:商店Aが「安売り」を選択している場合の商店Bの最適な戦略は「安売り」である。

(ウ) ナッシュ均衡は、(安売り、平常通り)と(平常通り、安売り)である。
→×:→○:商店Aが「安売り」を選択している場合の商店Bの最適な戦略は「安売り」である。 また、 商店Aが「平常通り」を選択している場合の商店Bの最適な戦略は「安売り」である。

(エ) ナッシュ均衡は、存在しない。
→×:商店Aが安売り、商店Bが安売りというナッシュ均衡が存在するので誤りである。

 よって解答はイである。

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設問22

解答:ウ

 総括原価方式とは、適正な原価(費用)に適正な事業報酬を加えたものが総収入に見合うように料金を設定する方式のことである。
 公共料金の設定にはこの方式が広く採用されてきたが、競争のない世界では、コスト削減努力がなされず、いつしか費用が上がり価格が上がるという問題が発生してきた。そこで、その価格の上昇を消費者物価の以内に抑えるように努力させるプライス・ギャップ方式がイギリスなどの先進国で採用されるようになった。これは「上限価格制」とも呼ばれている。

(ア) クリーム・スキミング
→×: 「牛乳から美味しいクリームだけをすくい取ること」より転じて、ある分野のうち利潤の多い部分にのみ参入することを意味する。
(イ) 公正報酬率方式
→×:総括原価方式において適正な事業報酬を計算するために用いる数値である。
(ウ) プライス・キャップ方式
→○:料金の上昇率に上限を設定し、その範囲内で自由に料金を決定させるという価格設定方式
(エ) フルコスト方式
→×:公共料金を決定する際、原材料費、人件費、減価償却費などを積算して、それに適正な利益を上乗せして算出する価格設定方式
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設問23

解答:エ

 独占的競争市場とは、多数の企業が似た製品を生産して競争しているが、それぞれの製品は少しだけ差別化され違っていることから、ある程度の価格支配力(独占力)がある。
よって価格がライバルより一円だけ高い場合、売り上げは減少するが、ゼロにはならない。これは、需要の価格弾力性が有限であるという仮定と同値である。そのため、各企業は限界費用に利鞘を乗せた価格を設定できる。あるいは、限界費用×(1+1/需要の価格弾力性)=価格という関係から、価格は限界費用より高くなる。短期的には超過利潤が発生するが、この利潤は長期的には他の企業の参入によって消滅する。つまり、固定費用と粗利益が等しくなる点まで企業が参 入する。なお独占的競争は、それぞれの企業が直面する需要曲線は所与として自己の利潤最大化を図ると考えるので、企業は他企業の個別の戦略を意識して自己 の戦略を決定すると考える伝統的な寡占理論の分析の枠には入らない。独占的競争はきわめて一般的な市場構造である。典型的には大きな町に散らばったガソリ ンスタンドを考えればよい。

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設問24

解答:エ(bとd)

 情報の非対称性とは「ある商品の質的情報に対して、買い手と売り手の間に情報格差が存在する」ということである。

期待効用
→×:期待効用とは、ある行為をとるとき、起こりうる結果の一覧表は分かっているが、どの結果が起こるのか不確実な場合に、個々の結果が起こる確率とその結果がもたらす効用との積を求め、その積をすべての結果について合計した数値のこと。期待される効用の平均値を示す。情報の非対称性とは関係がない。
逆選択
→○:情報の非対称性が存在するような場合には、逆選択の問題が生じうる。逆選択とは、質の良い財ではなく、質の悪い財のほうが市場に出回るようになる現象のことである。
ミニマックス定理
→×:ミニマックス定理とは、自己の最小利益を最大化するように戦略を選択するという行動仮説である。情報の非対称性とは関係がない。
レモンの原理
→○: 米国では、外見からは中身がわからない、後になって欠陥があることが判明する劣悪商品をレモン、品質のよいものは桃 ( ピーチ ) と呼ぶ。レモンには、おいしそうにみえても実は中身が腐っていたり、農薬が残っていたりするものが混じっていたりするからである。ピーチは、中が腐れば すぐに外見から分かるので、良いものしか店頭に並ばない。
中古車市場を例にとり、考える。中古車の売り手が自分の車のことをよく知っているのに対し、買い手がその車の情報を知らないのはよくある ( 事故歴、故障歴など )。売り手が誠実に車の情報を買い手に提供する限り問題はないが、そうでないとき、売り手が不利な情報を隠している場合が問題である。ある中古車市場で中古車を買った人は、情報を知らない購入時には満足してが、その人はいずれ欠陥車だった事を知る。そうすると買い手は売り手にクレー ムをつけるだけでなく、こういう中古車市場に不信感を抱き、今後その市場では買わなくなる。さらにその話を聞いた人もその市場から中古車を買うこ とはなくなる。価格も、レモンであるリスクを、買い手が考慮するために、下がる。こうなると、まともな中古車を売るつもりだった者は売らなくなり、 よい中古車 ( ピーチ ) の割合は減って、粗悪な中古車 ( レモン ) の割合が増えていきます。しかも買い手は減って市場は縮小する。こうしてこの市場は中古車市場としては機能しなくなり崩壊するのです。これをレモンの原理という。

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