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平成22年度1次試験解答:経営法務

設問11

解答:ウ

(ア) 意匠登録されている意匠に係る物品を権利者に無断でアルゼンチンにおいて製造し、日本国向けに輸出された物品
⇒×:対象となる。意匠権に基づく輸入差止請求の対象となり得る。
(イ) 特許発明に係る物品を権利者に無断でインドネシアにおいて製造し、日本国向けに輸出された物品
⇒×:対象となる。特許権侵害物品の輸入であり輸入差止請求の対象となり得る。
(ウ) 日本国内での商標権者が、タイにおいても同一内容について商標登録を有している場合に、権利者からタイでの製造・販売について許諾を受けた者が製造し、権利者に無断で日本国向けに輸出した商品
⇒○:対象とならない。タイにおいて、権利者からタイでの製造・販売について許諾を受けた者が製造した製品を日本に輸入することは並行輸入であり必ずしも輸入差止請求の対象とはならない。
(エ) 日本国内で発売された音楽CD(コンパクトディスク)と同一内容の音楽CDを権利者に無断で米国において製造し、日本国向けに輸出された音楽CD
⇒×:音楽CDを権利者に無断で米国において製造した音楽CDは海賊版である。したがって、輸入差止請求の対象となり得る。

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設問12

解答:エ

(ア) A会社は、B会社に請求する損害賠償とは関係なく、建築士Cに対してもB 会社を債権者代位して契約上の義務に違反するとして損害賠償請求をすることができる。
⇒A会社と建築士Cの間には契約関係がない。したがって、契約上の義務に違反するとして損害賠償請求をすることはできない。ただし、不法行為に基づく損害賠償は可能である。
(イ) A会社は、偽装を見抜けなかったD会社・E会社に対しても、自己に生じた損害について無過失責任を追及することができる。
⇒×:D会社・E会社ともにA会社とは契約関係になる。したがって、契約上の義務に違反するとして無過失責任を負うことはない。
(ウ) A会社は、不完全履行があるとして、B会社に対して、補修に要した相当額の不当利得返還請求をすることができる。
⇒×:不当利得返還請求ではなく債務不履行による損害賠償等で処理するべきである。
(エ) A会社は、補修および休業したことにより生じた損害について、B会社に対し、債務不履行責任に基づく損害賠償請求をすることができる。
⇒○:B会社は債務不履行(不完全履行)に基づく損害賠償責任を負う。したがって、A会社は、B会社に対し、債務不履行責任に基づく損害賠償請求をすることができる。

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設問13

解答:ウ

社 長
「今まで、わが社は国産にこだわってきたのだけど、最近、中国でも技術や質が上がってきているし、コストのメリットもあるしね。だから、今度、縁あって、新規に中国の会社乙と契約しようと思っているんだよ。」
あなた 「それは、良かったですね。」
社 長 「この会社は外国企業との取引に慣れているようで、契約書を提示してきたんだ。中国語や英語はわからないといったら、契約書は日本語のものを持ってきてくれたよ。でも、いろいろな面で取引を慎重に進めなくてはならないよね。どんなことに注意したらいいのかな。ぼくにとって海外取引は初めてだから、一般的なところから教えて欲しいんだ。」
あなた 「契約内容については、欠けているところがないか弁護士に聞いた方がいいですよ。」
社 長 「そうだよね。でもね、たとえば、契約に規定していないことが起きたら、どうなるの。」
あなた @契約書には一般的に準拠法の定めがあるはずです。それがない場合には、製品の買主側、すなわち、日本の法律が適用されることになります。」
⇒×:契約書に準拠法の定めがない場合は、売り主の常居所地国の法律が適用される。
社 長 「それと、価格の部分とかは後で決めるのでもいいのかなー。」
あなた Aそれでも良いと思います。けれども、契約書で何も規定していない場合は、近年、日本でも発効した国際物品売買契約に関する国際連合条約に従って、運送費は買主負担になるので、運送費の負担方法だけでも契約書で規定していた方がいいと思いますよ。」
⇒×:契約書に何も規定していない場合は、当事者間の別途合意が必要になる。すなわち、運送費は買主負担になるわけではない。
社 長 「会社乙は営業所が大阪にあってね、ここで外国会社の支店の登録もして、日本向け販売の窓口になっているんだ。ぼくたちはジャケットαに自社ブランドのロゴをつけて国内で販売する予定だけど、会社乙と日本で契約締結ということもできるのかなー。」
あなた B会社乙日本支店の日本における代表者の名の下に、会社乙と国内で契約締結することも可能ですよ。ただ、外国会社の支店といっても、本社から独立して法人格を有するわけではないので、結局、契約の相手方は会社乙ですけどね。」
⇒○:支店の活動から発生する債権債務の責任は外国企業に直接帰属する。
社 長 「ところで、万が一、相手方と裁判になったら怖いよね。相手方を訴えるときは、中国でしないといけないのかなー。」
あなた Cそれは、裁判管轄の問題ですね。ただ、契約上の裁判管轄がどこであれ、契約書が日本語であれば、日本で提訴することが可能ですよ。でも、強制執行するときは、結局、中国まで行かなくてはならないから、中国で提訴するのと一緒ですね。」
⇒×:通常は、国際裁判管轄について事前に当事者間で合意しておくものである。また、契約書が日本語で書かれていても日本で提訴できるわけではない。

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設問14

解答:イ

(ア) 株式会社Aがインターネットのショッピングサイト上で掲載している売買契約上、当該化粧品から生ずるいかなる肌のトラブルについても責任を負わない旨の規定がある場合には、当然に、当該契約全体が無効となる。
⇒○:当該化粧品から生ずるいかなる肌のトラブルについても責任を負わない旨の規定があっても消費者の利益を害するその条項は無効である。
(イ) 株式会社Aによる商品のインターネット販売にはクーリング・オフ規定の適用はないが、この商品のショッピングサイト上に返品の可否および条件を記載していない場合、インターネットを通じてこの商品を購入した女性の都合により契約を解除されることがある。
⇒○:正しい。
■定商取引法 第15条の2 契約の解除等
通信販売では、商品又指定権利の申込・契約をした者(購入者)は、その売買契約に係る商品の引渡し又は指定権利の移転を受けた日から起算して8日を経過するまでの間は、その売買契約の申込みの撤回又はその売買契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。 ただし、当該販売業者が申込みの撤回等についての特約(クーリングオフできないなど)を広告に表示していた場合には、この限りでない。
(ウ) 株式会社Aの担当者が訪問販売において、「重大な過失がある場合でも株式会社Aの損害賠償額は10万円を限度とさせていただきます。」とする旨を女性に手渡しした売買契約書において規定し、女性がこれについて説明を受け、納得した上で署名押印した場合は、かかる規定は有効である。
⇒×:消費者の同意があったとしても当該規程は無効である。
(エ) 株式会社Aの担当者が訪問販売において、女性から「商品が必要ないので、帰ってください。」と言われたにもかかわらず、居座って話を続けて説得した上で販売した商品は、この女性が契約書面を受領した日から起算して8日間が経過すると、女性から売買契約を取り消すことができない。
⇒×:しつこい勧誘が続き、販売員が家から帰ってくれなかった場合などで契約してしまったものは、クーリングオフ期間(8日以内)が過ぎていても解約できる。取引権の行使期間は原則として6カ月である。

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設問15

解答:エ

第○○条

 本ライセンス契約は、ソフトウェアライセンス本契約の使用に関して当事者間の完全合意を構成し、そのような主題に関するすべての事前のまたは同時期の合意に取って代わるものである。

 書面で両当事者によって実行されない限り、修正または本ライセンス契約の変更も拘束力はない。

 このライセンス契約のいずれかの翻訳は、地域の必要に応じて行われ、英語版とそれ以外の言語版の間で紛争が発生した場合、本ライセンス契約の英語版が優先するものとする。

(ア) XXX社とYYY社間の本契約締結前の合意は本契約に劣後する。
⇒○:正しい
(イ) XXX社とYYY社両者の書面による合意なしには本契約は修正できない。
⇒○:正しい
(ウ) 英語以外の言語に翻訳された契約書と英語版の契約書の内容に矛盾がある場合は、英語版が優先する。
⇒○:正しい。
(エ) 本契約の一部が無効となった場合でも、本契約の他の部分は効力を有する。
⇒×:そのような記述はない。

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