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平成19年度1次試験解答:経営法務

設問6

解答:ア

商標に関する問題である。

(ア) A製麺所が、商標「○○○」をB製麺所の登録出願日よりも先に使用を開始していたといっても、わが国は先願主義によっており、先に出願され、商標権が取得された以上、B製麺所の登録商標と同一のA製麺所の商標使用は中止せざるを得ないと思います。
→○:我が国の商標法では、先願主義が採用されている。先願主義とは、複数の出願のうち、最初に出願した者に商標権を付与する考え方である。B製麺所が既に商標を取得しているので、原則としてA製麺所は同一の商標を使うことはできない。
(イ) A製麺所の商標「○○○」を付した生麺は、味と食感に優れているということで、今ではY市で知られた存在となっていることから、周知商標として保護され、そのまま使用できるはずです。
→×:A製麺所に先使用権が認められるか否かが争点となる。先使用権とは、他人(商標権者)がその商標を出願する前から、同じような商標を自分が使っており、しかもある程度有名(周知商標)になっている場合は、引き続きその商標を使うことが認められる権利である。A製麺所では、今年に入って有名になったが、それはB製麺所の商標登録の後であり、先使用権が認められない可能性が高い。
(ウ) A製麺所は、B製麺所の商標登録出願日よりも前に商標「○○○」の使用を開始していたのですから、B製麺所の登録商標「○○○」は当然無効であるので、商標登録無効審判を提起できるはずです。
→×:B製麺所の登録商標は、たとえA製麺所がB製麺所の商標登録出願日よりも前に商標「○○○」の使用を開始していたとしても無効にはならない。
(エ) A製麺所は、B製麺所の商標登録出願日よりも前に商標「○○○」の使用を開始していたのである以上、当然使用する権利があるはずですから、その旨の回答をしたらよいでしょう。
→×:単にA製麺所の使用がB製麺所よりも前に使用していたとしても、商標「○○○」を使用する権利があるわけではない。

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設問7

解答:ウ

(ア) 日本、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアで特許権を取得したいということであったので、日本でまず特許出願を行い、その後、この日本での特許出願に基礎を置く優先権を主張してヨーロッパ特許条約(EPC)に基づくヨーロッパ特許出願をするように勧めた。
→○:ヨーロッパ特許条約(EPC)では、1つの出願で、ヨーロッパの多数の国への出願を行うことができ、権利を取得することができる。審査もヨーロッパ特許において行われる。日本出願をした後、優先権を主張してヨーロッパ特許出願をすることができる。
(イ) 日本、中国、韓国、シンガポール、ベトナムで商標権を取得したいということであったので、マドリッド協定議定書に基づく国際商標登録出願をするように勧めた。
→○:マドリッド協定議定書は、商標について、世界知的所有権機関(WIPO)国際事務局が管理する国際登録簿に国際登録を受けることにより、指定締約国においてその保護を確保できることを内容とする条約です。日本、中国、韓国、シンガポール、ベトナムはマドリッド協定議定書締結国である。
(ウ) 日本、中国、韓国、台湾、インド、アメリカ、カナダ、イギリスで特許権を取得したいということであったので、特許協力条約(PCT)に基づく国際特許出願をするように勧めた。
→×:特許協力条約(PCT)とは、特許権について各国ごとの重複負担を軽減させ、一つの出願によって各国における出願の効果を生じさせる条約である。台湾は特許協力条約(PCT)を締結していない。
(エ) 日本、中国、韓国で特許権を取得したいということであったので、まず、日本へ特許出願を行い、その後パリ条約に基づく優先権を主張して、中国、韓国へ国別に特許出願を行うように勧めた。
→○:パリ条約とは、工業所有権の国際的な保護のために作成された条約である。優先権制度、各国工業所有権独立の原則などについて定めており、これらをパリ条約の三大原則という。

内国民待遇の原則
工業所有権の保護に関して自国民に現在与えている、又は将来与えることがある利益を他の同盟国民にも与えなければならない
優先権制度
自国における出願について、優先期間内であればその出願日(先行性)を維持したまま他国へ出願できる(特許の場合の優先期間は12ヶ月)
各国工業所有権独立の原則
各国ごとに発生した権利はその国ごとに独立して存在して保護され、特許権の効力についても互いの国に影響を与えない
パリ条約では優先権制度を認めており、正しい。

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設問8

解答:エ

特許法に関する問題である。

(ア) 従業者等は、就業規則等の定めにより、職務発明について使用者等に特許を受ける権利を承継させたり、もしくは当該職務発明についての特許権を承継させたりした場合には、使用者等より相当の対価の支払を受ける権利を有する。
→○:特許を受ける権利は発明者である従業員に帰属する。会社が従業員から職務発明を承継した場合、会社は相当の対価を従業者に支払わなければならない

▼特許法 第35条3項
従業者等は、契約、勤務規則その他の定めにより、職務発明について使用者等に特許を受ける権利若しくは特許権を承継させ、又は使用者等のため専用実施権を設定したときは、相当の対価の支払を受ける権利を有する。

(イ) 職務発明でない場合に、あらかじめ勤務規則等で使用者等が特許を受ける権利を承継できる旨を定めても、それは無効である。
→○:正しい。

▼特許法 第35条2項
従業者等がした発明については、その発明が職務発明である場合を除き、あらかじめ使用者等に特許を受ける権利若しくは特許権を承継させ又は使用者等のため専用実施権を設定することを定めた契約、勤務規則その他の定めの条項は、無効とする。

(ウ) 職務発明とは、従業者等が、その性質上使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至った行為がその使用者等における従業者等の現在または過去の職務に属する発明をいう。
→○:正しい。

▼特許法 第35条1項
使用者、法人、国又は地方公共団体(以下「使用者等」という。)は、従業者、法人の役員、国家公務員又は地方公務員(以下「従業者等」という。)がその性質上当該使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至つた行為がその使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する発明(以下「職務発明」という。)について特許を受けたとき、又は職務発明について特許を受ける権利を承継した者がその発明について特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有する。

(エ) 職務発明に関する相当の対価を決定するための基準は、重要な事項であるから、必ず勤務規則で定めなくてはならない。
→×:勤務規則だけではなく、契約やその他の定めによって職務発明に関する相当の対価を決定するための基準を決めることができる。 すなわち 必ず勤務規則で定める必要はない。

▼特許法 第35条3項
従業者等は、契約、勤務規則その他の定めにより、職務発明について使用者等に特許を受ける権利若しくは特許権を承継させ、又は使用者等のため専用実施権を設定したときは、相当の対価の支払を受ける権利を有する。

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設問9

解答:ウ

(ア) A社に対しては、特許権があるといっても、その特許権がA社の製品を本当に保護しているかどうかは別の問題ですから、本当に保護されているかどうかを検討しておいたほうがよいですよ、とアドバイスする。
→○:特許権の存在及び特許公報等の公示による抑止効果だけでは、本当にA製品が保護されているかどうかは分からない。
(イ) B社に対しては、X社の特許権があるといっても、その特許権を侵害しないように作ることができる場合があるようですから、X社の特許権の特許公報を取り寄せて、検討してみたらどうでしょうか、とアドバイスする。
→○:B社がX社の特許権に抵触しないで作る方法はあり得る。よって特許公報を取り寄せ特許権に抵触しないで作ることが可能か検討することは有効である。
(ウ) C社に対しては、それは大変なことなので、早速C社の取引先はもちろんのこと、Y社の取引先にも、Y社の商品はC社の権利侵害品であるとの文書を送りつけるように、とアドバイスする。
→×:Y社の取引先にも、Y社の商品はC社の権利侵害品であるとの文書を送りつけるということは、もし権利侵害でなかった場合には不法行為に該当し損害賠償を請求される恐れがある。
(エ) D社には、その商品が世の中に見当たらないといっても、第三者が特許権等を持っている場合もありますから、D社の新商品が権利範囲に入る有効な特許権や実用新案権、意匠権等がないかどうか調べておいたほうがよいですよ、とアドバイスする。
→○:同一商品が世の中に見当たらないといっても、特許権等の設定登録がなされ権利保護されているが、実施品が生産販売されていない場合がありえる。すなわちD社の新商品が権利範囲に入る有効な特許権や実用新案権、意匠権等がないかどうか調べておいたほうが良い。

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設問10

解答:ウ

(ア) 1文字も離すと、「○○○」と「CLUB」との間に、それぞれ別の意味が生じてくる可能性があることから、B社の登録商標「○○○CLUB」の使用とはいえない場合が生じてくるので使用を中止する。
→○:「○○○」と「CLUB」のように、1文字も離すと、それぞれ別の意味が生じてくる可能性があるため、登録商標である「○○○CLUB」の使用とはいえない場合が生じてくる。
(イ) 「○○○」と「CLUB」の間を1文字離して使用する場合、B社の方に信用のただ乗り(Free ride)意思があるとして、B社の登録商標は不正使用取消審判の対象となり得るので対策を考える。
→○:A社の登録商標が日本国内において広く人に知られる存在となった時点で、ことさらに「○○○」部分をきわだたせる使用形態をとることはA商品と混同を生じさせる。その結果、ただ乗り(Free ride)意思があるとして、B社の登録商標は不正使用取消審判の対象となり得る。
(ウ) 商標「○○○」と「CLUB」の間を1文字離した程度では、商標「○○○」と「CLUB」の間の一体性は損なわれていないので、B社の登録商標「○○○CLUB」の使用であるとして使用を中止しない。
→×:ア、イの解説参照
(エ) たとえ1文字離した程度であったとしても、A社の登録商標「○○○」が既に周知著名商標となっていることを考慮すると、A社の商品との間に出所の混同を生ずるとされる恐れがあるので使用を中止する。
→○:たとえ1文字離した程度であったとしても、A社の登録商標「○○○」が既に周知著名商標となっている事実が出所の混同を肯定する要素として働く。

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