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平成19年度1次試験問題:経営法務

設問6

 Y市で古くから製麺業を営むA製麺所は、4年ほど前からその材料と製法に工夫を凝らした生麺を「○○○」という商品名で売り出し、A製麺所の店先や、Y市のスーパーで販売をしていたが、商標「○○○」については商標登録出願をしていなかった。A製麺所の生麺「○○○」は、今年に入って、ようやくY市でも味と食感に優れたおいしい生麺として人に知られるところとなり、売れ行きも好調になってきていた。
 そのような矢先突然、株式会社B製麺所(以下、「B製麺所」という。)というところから、A製麺所のものと同じ商標「○○○」で商品区分・第30類について商標権を取得したので、A製麺所の商標「○○○」の使用を直ちに中止して欲しい旨の内容証明が送られてきた。
 そこで、A製麺所から相談を受けたあなたが商標公報を見たところ、確かにB製麺所は生麺、生そばを含む商品区分・第30類について商標「○○○」について商標権を取得しているが、出願日はA製麺所が生麺を商標「○○○」で売り出した日から2年後であることが判明した。
 A製麺所に対するアドバイスとして最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) A製麺所が、商標「○○○」をB製麺所の登録出願日よりも先に使用を開始していたといっても、わが国は先願主義によっており、先に出願され、商標権が取得された以上、B製麺所の登録商標と同一のA製麺所の商標使用は中止せざるを得ないと思います。
(イ) A製麺所の商標「○○○」を付した生麺は、味と食感に優れているということで、今ではY市で知られた存在となっていることから、周知商標として保護され、そのまま使用できるはずです。
(ウ) A製麺所は、B製麺所の商標登録出願日よりも前に商標「○○○」の使用を開始していたのですから、B製麺所の登録商標「○○○」は当然無効であるので、商標登録無効審判を提起できるはずです。
(エ) A製麺所は、B製麺所の商標登録出願日よりも前に商標「○○○」の使用を開始していたのである以上、当然使用する権利があるはずですから、その旨の回答をしたらよいでしょう。

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設問7

 外国出願については、各種国際条約や取り決めがなされており、出願の種類、出願希望国とその国数、出願費用等により、さまざまな出願方法が選べるようになっている。
 あなたが、顧問先の会社から外国出願について相談を受けた際のアドバイスとし て、最も不適切なものはどれか

【解答群】
(ア) 日本、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアで特許権を取得したいということであったので、日本でまず特許出願を行い、その後、この日本での特許出願に基礎を置く優先権を主張してヨーロッパ特許条約(EPC)に基づくヨーロッパ特許出願をするように勧めた。
(イ) 日本、中国、韓国、シンガポール、ベトナムで商標権を取得したいということであったので、マドリッド協定議定書に基づく国際商標登録出願をするように勧めた。
(ウ) 日本、中国、韓国、台湾、インド、アメリカ、カナダ、イギリスで特許権を取得したいということであったので、特許協力条約(PCT)に基づく国際特許出願をするように勧めた。
(エ) 日本、中国、韓国で特許権を取得したいということであったので、まず、日本へ特許出願を行い、その後パリ条約に基づく優先権を主張して、中国、韓国へ国別に特許出願を行うように勧めた。

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設問8

 特許法は、その第35条で職務発明について規定を置いている。この規定の内容 として、最も不適切なものはどれか

【解答群】
(ア) 従業者等は、就業規則等の定めにより、職務発明について使用者等に特許を受ける権利を承継させたり、もしくは当該職務発明についての特許権を承継させたりした場合には、使用者等より相当の対価の支払を受ける権利を有する。
(イ) 職務発明でない場合に、あらかじめ勤務規則等で使用者等が特許を受ける権利を承継できる旨を定めても、それは無効である。
(ウ) 職務発明とは、従業者等が、その性質上使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至った行為がその使用者等における従業者等の現在または過去の職務に属する発明をいう。
(エ) 職務発明に関する相当の対価を決定するための基準は、重要な事項であるから、必ず勤務規則で定めなくてはならない。

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設問9

 A社、B社、C社およびD社は、中小企業診断士であるあなたの顧問先である。
 A社は、売れ行き好調な自社製品(せんべいの製造装置)について特許権があるからうちは安心だと言っており、一方、B社は、X社の製品(おもちゃ)が売れ行き好調のようなので、B社でも作りたいが、特許権があるということなので、手をこまねいているようである。
 また、C社は、Y社で今度発売された商品(自動按摩機)は、C社の特許製品をまねた商品で、しかも、C社の商品よりも、かなり安く発売されているので、Y社に製造販売をやめるように要求すると言っている。
  さらに、D社では、このたび、D社で新しく開発した商品(家具転倒防止器具) は、まだ世の中になく、どこも発売されていないものなので、早速量産して大々的に売り出すと言っている。
  A社、B社、C社およびD社に対するあなたのアドバイスとして、最も不適切な ものはどれか

【解答群】
(ア) A社に対しては、特許権があるといっても、その特許権がA社の製品を本当に保護しているかどうかは別の問題ですから、本当に保護されているかどうかを検討しておいたほうがよいですよ、とアドバイスする。
(イ) B社に対しては、X社の特許権があるといっても、その特許権を侵害しないように作ることができる場合があるようですから、X社の特許権の特許公報を取り寄せて、検討してみたらどうでしょうか、とアドバイスする。
(ウ) C社に対しては、それは大変なことなので、早速C社の取引先はもちろんのこと、Y社の取引先にも、Y社の商品はC社の権利侵害品であるとの文書を送りつけるように、とアドバイスする。
(エ) D社には、その商品が世の中に見当たらないといっても、第三者が特許権等を持っている場合もありますから、D社の新商品が権利範囲に入る有効な特許権や実用新案権、意匠権等がないかどうか調べておいたほうがよいですよ、とアドバイスする。

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設問10

 外国法人のA社が持つ、指定商品が「X」で「○○○」というローマ字の大文字で書 した先願既登録商標に対し、B社は同じく指定商品を「X」とし、「○○○CLUB」と いう字句を同書、同大、同間隔、かつ一連に書して商標登録出願したところ、商標権を取得できた。
 その後、A社は自社の登録商標「○○○」を付した商品の大々的な広告宣伝活動を開始した。
 その結果、A社の自社登録商標は、B社の商標が登録された後ではあったが、A社の商品を表示するものとして日本国内において広く人に知られる存在となった。その後、B社は自社の登録商標「○○○CLUB」のうち「○○○」と「CLUB」の間を1文字離して使用したところ、A社から警告書が送られて来た。
 この場合のB社の対応について、最も不適切なものはどれか

【解答群】
(ア) 1文字も離すと、「○○○」と「CLUB」との間に、それぞれ別の意味が生じてくる可能性があることから、B社の登録商標「○○○CLUB」の使用とはいえない場合が生じてくるので使用を中止する。
(イ) 「○○○」と「CLUB」の間を1文字離して使用する場合、B社の方に信用のただ乗り(Free ride)意思があるとして、B社の登録商標は不正使用取消審判の対象となり得るので対策を考える。
(ウ) 商標「○○○」と「CLUB」の間を1文字離した程度では、商標「○○○」と「CLUB」の間の一体性は損なわれていないので、B社の登録商標「○○○CLUB」の使用であるとして使用を中止しない。
(エ) たとえ1文字離した程度であったとしても、A社の登録商標「○○○」が既に周知著名商標となっていることを考慮すると、A社の商品との間に出所の混同を生ずるとされる恐れがあるので使用を中止する。

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