平成29年度1次試験解答:経営情報システム
設問16
解答:ウ
(ア) | BI(Business Intelligence)ツールとは、人工知能のアルゴリズムを開発するソフトウェアをいう。 →×:BIツールとは「ビジネスインテリジェンスツール」の略で、企業に蓄積された大量のデータを集めて分析し、迅速な意思決定を助けるのためのツールのことである。経営管理や売上のシミュレーションなどに活用できる。 |
(イ) |
ETL(Extract/Transform/Load)とは、時系列処理のデータ変換を行うアルゴリズムをいい、将来の販売動向のシミュレーションなどを行うことができる。 →×:ETLとは、企業の基幹系システムなどに蓄積されたデータを抽出(extract)し、データウェアハウスなどで利用しやすい形に加工(transform)し、対象となるデータベースに書き出す(load)こと。また、これら一連の処理を支援するソフトウェアのことである。 |
(ウ) | 大量かつ多様な形式のデータを処理するデータベースで、RDBとは異なるデータ構造を扱うものにNoSQLデータベースがある。 →〇:NoSQLデータベースとは、幅広い種類の膨大な量のデータを高速かつ動的に整理し分析することを可能にする、非リレーショナルな広域分散データベースシステムです。 |
(エ) | データマイニングとは、データの特性に応じてRDBのスキーマ定義を最適化することをいう。 →×:データマイニングとは、大量にある情報や事実を積み上げ、その中から価値ある情報を見つけ出す、掘り出すことである。 |
設問17
解答:ア
ウォータフォール型システム開発とは、システムの開発を「基本計画」「外部設計」「内部設計」「プログラム設計」「プログラミング」「テスト」という工程に分けて順に段階を経て行う方法である。
前の工程には戻らない前提であることから、下流から上流へは戻らない水の流れにたとえてウォータフォールと呼ばれている。
(ア) |
ウォータフォール型システム開発方法論では、開発プロセスを「要件定義」、「外部設計」、「内部設計」、「開発(プログラミング)」、「テスト」、「運用」の順に行い、後戻りしないことが理想とされている。 →〇:ウォーターフォール型では、「要件定義」、「外部設計(基本設計、概要設計)」、「内部設計(機能設計)」、「開発(プログラミング)」、「テスト」、「運用」の順で開発が進む。 |
(イ) |
ウォータフォール型システム開発方法論では、開発プロセスを「要件定義」、「内部設計」、「外部設計」、「開発(プログラミング)」、「運用」、「テスト」の順に行い、後戻りしないことが理想とされている。 →×:「内部設計」と「外部設計」の順番が逆である。 「外部設計(基本設計、概要設計):システムの使い勝手や他システムとのやり取りを設計」の後に、「内部設計(詳細設計、機能設計):外部設計を具体的にどうシステムで実装するか設計」を行う。 |
(ウ) |
ウォータフォール型システム開発方法論に対して、スパイラルモデルでは一連のプロセスを何度も繰り返すことを許すが、その際には、まず全体の概要を構築し、それを徐々に具体化するプロセスが採用される。 →×:スパイラルモデルとは、設計、プログラミング、テスト、プロトタイプ(試作品)の試用等の一通りの工程を繰り返してシステムの質を高めていく開発手法の事である。スパイラルモデルでは、全体の概要を構築し、それを徐々に具体化するプロセスが採用ではなく、システムを開発工程の初期に独立性の高い部分に分割し、各部分ごとに設計、プログラミング、テストを行い、それを繰り返すことでシステムを開発する。 |
(エ) |
プロトタイプモデルは、ウォータフォール型システム開発方法論における「テスト」工程でのノウハウがなかなか蓄積できないとの課題に対応して提案されたものである。 →×:プロトタイプモデルとは、開発の早い段階で試作品(プロトタイプ)を作成し、その試作品をエンドユーザーが確認、評価することにより、システムの仕様を確定していく開発プロセスである。要件定義から外部設計の段階で開発者とユーザ間の認識のズレや曖昧さを取り除くために提案された。 |
設問18
解答:ア
ソフトウェア開発における見積り手法には、次のようなものがあります。
- 類推法
過去の類似プロジェクトの実績を基礎に見積る方法
- 専門家による判断
一人ないし複数専門家による協議
- トップダウン見積り
全体システムを見積り可能なサイズのソフトウェアコンポーネントに細分化
- ボトムアップ見積り(工数積上げ)
プロジェクトの成果物の構成要素を洗い出し、それぞれに必要な工数などを見積って積み上げる方法
- パラメトリック法
工数などを目的変数として、説明変数に規模や要因などを設定し、数学的な関数として表す方法
- プライスツーウィン
顧客予算に合わせた見積り(→不適切な見積り方法) - ファンクションポイント法
「外部入力」,「外部出力」,「内部論理ファイル」,「外部インタフェースファイル」,「外部照会」の五つの要素の個数を求め、それぞれを重み付けして集計し、その集計した値がソフトウェア開発の規模に相関するという考え方に基づいて,開発規模の見積る方法
(ア) | LOC 法は、プログラムのステップ数に基づいて見積もりを行う手法であり、パラメトリック法に分類される。 →〇:正しい。 |
(イ) | ファンクションポイントは、どの見積もり手法でも必要となる重要データである。 →×:ファンクションポイントは、どの見積もり手法でも必要となるわけではない。 |
(ウ) | ボトムアップ法は、要件定義の段階で見積もる手法であり、以降の段階ではより詳細なパラメトリック法が用いられる。 →×:ボトムアップ法は、プロジェクトの成果物の構成要素の洗い出しが必要なるためある程度工程が進まないと用いることが困難である。すなわち要件定義の段階で見積もるには適さない。 |
(エ) | 類推法は、過去の類似システムと比較して見積もる手法で、標準タスク法などがこれに該当する。 →×:類推法は、過去の類似プロジェクトの実績を基礎に見積る方法である。標準タスク法はボトムアップ法の1つである。 |
設問19
解答:ア
(ア) | 結合テストの方法の1つにビッグバンテストがあり、複数のモジュールを一挙に結合して、その動作を検証する。 →〇:ビッグバンテストとは、すべてのモジュールを一斉に結合するテスト方法である。 |
(イ) |
上位モジュールと下位モジュールを結合してテストを実施したいが上位モジュールが完成していない場合、スタブと呼ばれるダミーモジュールを作ってテストする。 →×:上位モジュールと下位モジュールを結合してテストを実施したいが上位モジュールが完成していない場合、ドライバと呼ばれるダミーモジュールを作ってテストする。 |
(ウ) | ブラックボックステストでは、モジュール内の分岐や繰り返しなど、内部ロジックが正しいかをテストする。 →×:ホワイトボックステストでは、モジュール内の分岐や繰り返しなど、内部ロジックが正しいかをテストする。 |
(エ) |
モジュールのテストでは、まずモジュール間を接続し、結合テストを行って全体の整合性を確認し、その後単体テストを実施してモジュール単体の動作を詳しくテストする。 →×:まず、単体テストを実施してモジュール単体の動作を詳しくテストする。その後、モジュール間を接続し、結合テストを行って全体の整合性を確認する。 |
設問20
解答:イ
(ア) |
EA(Enterprise
Architecture)とは、組織全体の意思決定の階層を、戦略的計画、マネジメントコントロール、オペレーショナルコントロールの3つに分けて、システム化の構想をするものである。 →×:EA(Enterprise Architecture)とは、経営戦略とITを絡めた全体最適化によって、顧客ニーズをはじめとする社会環境や情報技術自体の変化に素早く対応するための構造である。 |
(イ) |
IT ポートフォリオとは、リスクやベネフィットを考慮しながらIT
投資の対象を特性に応じて分類し、資源配分の最適化を図ろうとするものである。 →〇:ITポートフォリオとは、情報システムの貢献度や活用度などを分析し、バランス良くIT投資を配分する管理・分析手法である。 |
(ウ) | SLA(Service Level Agreement)とは、IT サービスを提供する事業者とIT
サービスを利用する企業間の契約で、ITサービスを提供する事業者が知り得た経営上あるいは業務上の知識や情報の秘密を漏えいしないための秘密保持契約をいう。 →×:SLAとは、Service Level Agreementの略で、サービスを提供事業者とその利用者の間で結ばれるサービスのレベル(定義、範囲、内容、達成目標等)に関する合意サービス水準、サービス品質保証などと訳される。 |
(エ) |
WBS(Work Breakdown
Structure)とは、現行の業務フロー分析を行い、システム化の範囲を定めるために用いる手法である。 →×:WBS(Work Breakdown Structure)とは、プロジェクトマネジメントで利用される計画手法の一種で、プロジェクトにおける作業を細かい単位に分割し、階層構造などで管理する手法のことである。 |