平成21年度1次試験解答:経営情報システム
設問21
解答:イ
レプリケーションとは、データベース管理システムが持つ機能の一つで、あるデータベースとまったく同じ内容の複製(レプリカ)を別のコンピュータ上に作成し、常に内容を同期させる機能。負荷分散や耐障害性の向上などを目的に行われる。
ゼロデータロスとは、どのような異常事態が発生してもシステムのデータを失わないことである。
(ア) | RAID 0のミラーリングでデータ同期レプリケーションを実現する。 ⇒×:RAID 0は、複数のディスクにデータを分散して読み書きし高速化したものである(ストライピング)。処理速度は高速化するがレプリケーションを実現することはできない。 |
(イ) | 複数のハードディスクに対して相互に書き込み完了を確認し合う形態によって、データ書き込みを完全二重化する。 ⇒○:正しい。 |
(ウ) | マスターシステムの更新完了後に、予備システムにデータを転送して更新させる形態のデータ同期レプリケーションにする。 ⇒×:マスターシステムの更新完了後に、予備システムにデータを転送して更新させる場合、同じ内容の複製(レプリカ)が作成されない恐れがある。 |
(エ) | マスターシステムのハードディスクへの書き込みに失敗した場合にも、予備システムで処理を継続できるようにする。 ⇒×:データ同期レプリケーションでは、マスターシステムと予備システムの双方が静効果失敗かの認識を共有する。すなわち両方のハードディスクから完了通知があるまで書込みは完了したと見なされず処理は前に進まない。 |
設問22
解答:エ
各選択肢の説明を下記に記す。
- TCO
- TCO (Total Cost of Ownership)とは、コンピュータシステムの導入、維持・管理などにかかる費用の総額のことである。
- ファンクションポイント
- ファンクションポイント法は、ソフトウエアの規模や開発工数を見積もるための手法の1つである。ファンクション・ポイント法では開発する業務システムが扱う外部入力などの5種類のデータを拾い上げ,さらに処理の複雑さなどの14項目から定めた補正係数を掛け合わせてファンクション・ポイント数を求める。その上で過去に開発したシステムのファンクション・ポイント数と照合して工数を決める。
- スコアリングモデル
- スコアリングモデルとは、定性的な評価項目のそれぞれに対して重み付けをして、一つの数式で表現し定量化する手法である。
- バランストスコアカード
- 企業や組織のビジョンと戦略を、 4つの視点から具体的なアクションへと変換して計画・管理し、戦略の立案と実行を支援するとともに戦略そのものも市場や環境の変化に合わせて柔軟に適合させるための経営戦略立案・実行評価のフレームワーク。またはこのフレームワークで利用される達成目標と評価指標を記載したカードのことである。
- ポートフォリオ分析
- 自らの資産を分散投資することや投資商品の組み合わせのことである。
したがって、次のようになるのでエが正解である。
X氏 | : | 「今回のシステムの目的は、どちらかというと、業務処理にかかわるコスト削減というよりも、売り上げの増大を目指すシステムだよね。資本回収期間法などの一般の設備投資に用いられるような方法よりは、システムが持っている機能が何個あるかを【A:ファンクションポイント】として数えて、複数のシステム開発会社から出てきた見積もりをその【A:ファンクションポイント】で割って、その値で評価する方法はどうだろうね。」 |
Y氏 | : | 「しかし、その方法では、コストは評価できるけれど、システムの導入によって得られる価値は評価できないよね。とにかく皆で複数の評価基準を作って、それらの評価基準について、関係者が点数を付けて、その結果を見ながら皆で議論する【B:スコアリングモデル】という方法を採用してみてはどうかな。」 |
Z氏 | : | 「経営的な視点で情報システムの有効性を評価する方法として【C:バランストスコアカード】があるよ。つまり、情報システムを財務、顧客、業務プロセス、学習と成長の4つの視点からみるんだ。」 |
設問23
解答:ア
(ア) | グリーンITの取り組みには、ITを利用することで産業構造を変革し、資源エネルギーを効率よく活用する仕組みを作るアプローチだけでなく、IT機器そのものの消費電力を削減するアプローチも含まれる。 ⇒○:グリーンITとは、地球環境に配慮したIT製品やIT基盤のこと。あるいは環境保護や資源の有効活用につながるIT利用をいう。 |
(イ) | グリーンITの取り組みの1つとしてIT機器の3Rがあるが、事業所の使用済みPCの回収・再資源化を希望する法人は、パソコン3R推進センターに回収を依頼する。 ⇒×:事業所の使用済みPCの回収・再資源化を希望する法人は、パソコンメーカーに回収を依頼する。 |
(ウ) | 経済産業省の広報資料によれば、2025年には2006年に比べて、取扱情報量は2,000倍になり、国内IT機器の消費量は12倍になるとされている。 ⇒×:経済産業省の広報資料によれば、2025年には2006年に比べて、取扱情報量は200倍になり、国内IT機器の消費量は5倍になるとされている。 |
(エ) | 経済産業省は、環境保護と経済成長を両立させるために「グリーンITイニシアティブ」を提唱し、2008年1月に産官学のパートナーシップによる「グリーングリッド」を設立した。 ⇒×:グリーン・グリッドは、データセンターやIT機器の省電力化を推進する米国の業界団体である。 |
設問24
解答:エ
(ア) | F値は2.0程度である。 ⇒×:F値は21(378023÷18126=20.855≒21)程度である。 |
(イ) | 使用データ数は36である。 ⇒×:全体の自由度(使用データ数−1)が36なので使用データ数は37である。 |
(ウ) | 定数項の標準化係数は5程度である。 ⇒×:標準化係数とは標準化係数を標準化した値である。標準化係数で回帰式を表す場合、切片はゼロを表す。 |
(エ) | 床面積のt値は4.6程度である。 ⇒○:正しい。0.343÷0.075=4.5733≒4.6となる。 |
設問25
解答:ア
(ア) | yとzの値は、理論上同じ値となる。 ⇒×:正しい。 |
(イ) | yの計算は平均値の検定の計算である。 ⇒×:yの計算は、x2の統計量を表している。 |
(ウ) | zの計算は平均値の検定の計算である。 ⇒×:zの計算は、x2の統計量を表している。 |
(エ) | 正規分布を使う比率の差の検定では、独立性検定と異なる結果になる。 ⇒×:正規分布を使う比率の差の検定では、独立性検定と同じ結果になる。 |