平成21年度1次試験解答:経営情報システム
設問11
解答:イ
信頼性を上げるために2系統のシステムを用意し、処理を並列に行わせて一定時間ごとに処理結果の照合を行い、機器故障時は故障した装置を切り離して処理を続行する仕組みを【 A 】という。
一方、複数の演算処理装置を設置するものの【 B 】は共有して利用する方法で処理効率を向上させる仕組みを【 C 】という。この仕組みも、一部の演算処理装置に故障が発生した場合に処理の続行が可能である。
各選択肢の説明を下記に記す。
- タンデムシステム
- 複数の処理装置やコンピュータを直列につなぎ、それぞれが特定の処理に注力して役割分担する構成のシステム。
- デュアルシステム
- 情報システムの信頼性を高める手法の一つで、システムを2系統用意して、常に同じ処理を行わせる方式。
- デュプレックスシステム
- 情報システムの信頼性を高める手法の一つで、システムを2系統用意して、普段は片方で処理を行い、もう片方は障害発生に備えて待機させておく方式。
- ロードシェアシステム
- 複数のCPUを接続して処理を分担して行い、負荷を分散することで、処理効率や信頼性の向上を図る構成技術。
- マルチプロセッサシステム
- 複数のCPU(処理装置)で別々の処理をおこなうシステム。
- フールプルーフ
- 工業製品や生産設備、ソフトウェアなどで、利用者が誤った操作をしても危険に晒されることがないよう、設計の段階で安全対策を施しておくこと。
- フェールソフト
- システムの一部に障害が発生した際に、故障した個所を破棄、切り離すなどして障害の影響が他所に及ぼされるのを防ぎ、最低限のシステムの稼動を続けるための技術。
- フェールセーフ
- なんらかの装置・システムにおいて、誤操作・誤動作による障害が発生した場合、常に安全側に制御すること。
したがって、次のようになるのでイが正解である。
信頼性を上げるために2系統のシステムを用意し、処理を並列に行わせて一定時間ごとに処理結果の照合を行い、機器故障時は故障した装置を切り離して処理を続行する仕組みを【A:デュアルシステム】という。
一方、複数の演算処理装置を設置するものの【B:主記憶装置や外部記憶装置】は共有して利用する方法で処理効率を向上させる仕組みを【C:マルチプロセッサシステム】という。この仕組みも、一部の演算処理装置に故障が発生した場合に処理の続行が可能である。
コンピュータシステム運用の際、故障が発生しても処理を中断することなく機能を維持しようとするシステム構成方法を【D:フェールソフト】という。
設問12
解答:エ
RFID(Radio Frequency IDentification)は、ID情報を埋め込んだRFタグから、電磁界や電波などを用いた近距離(周波数帯によって数cm〜数m)の無線通信によって情報をやりとりするもの、および技術全般を指す。
a | ICタグは製造時にあらかじめ書き込んだデータを、使用時に非接触の状態で読み取り利用するもので、流通段階で発生する管理情報を追加記録することはできない。 ⇒×:流通段階で発生する管理情報を追加記録することは可能である。 |
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b | ICタグが付いた複数の商品がかごに入っている場合も、商品を1つずつ取り出すことなく、複数ICタグの情報を一括して認識できる。 ⇒○:RFID では複数同時認証が可能であるため、買い物カゴの中の商品情報を一気に読み取ることも可能である。 |
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c | ICタグに納められるデータ量は数メガバイトであるので、付与する商品の区別のためにEPCなどの識別コードや製造・流通段階の各種管理情報を納めることができる。 ⇒×:ICタグに納められるデータ量は数キロバイト程度である。 |
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d | RFIDとバーコードなどの既存の仕組みを共存させることも必要で、その際はJANコードとEPCコードというように複数コードの同時管理が必要となる。 ⇒○:EPCコードとは、ICタグを利用して製品識別を行う場合に利用されるコードである。またJANコードは、日本で最も普及している商品識別コードである。EPCコードとJANコードの同時管理が必要となる。 |
設問13
解答:エ
(ア) | CADのデータ標準は確立しているので、どのようなCADシステムを使っても他のCADシステムとのデータ交換は問題なくできる。 ⇒×:CADのデータ標準は確立していない。 |
(イ) | IGES(Initial Graphics Exchange Specification)とは、異なるCADシステム間でのデータ伝達の標準を確立すべく、1980年に日本の大企業が中心となり策定したCADシステム間の標準インターフェイス仕様である。 ⇒×:IGES(Initial Graphics Exchange Specification)とは、異なるCADシステム間でのデータ伝達の標準を確立すべく、1980年に米国規格協会(ANSI)が中心となり策定したCADシステム間の標準インターフェイス仕様である。 |
(ウ) | 送り手と受け手が同一のCADシステムを使ってデータ交換を行う方法を、ANSIデータの交換という。 ⇒×:ANSIデータの交換では、送り手と受け手が同一のCADシステムを使う必要はない。 |
(エ) | 製品データの交換に利用できるSTEP(STandard for the Exchange of Product model data)は、「情報表現」と「情報交換」に関する規定で、形状データのみならず構成管理データや運用管理データも交換するためのものである。 ⇒○:正しい。 |
設問14
解答:イ
各選択肢の説明を下記に記す。
- データウェアハウス
- 企業内で発生する情報を主題ごとに時系列で蓄積することによって、既存の情報システムだけでは得られない情報を提供するシステムのことである。
- データマート
- データウェアハウスに保存されたデータの中から、部門や個人の使用目的に応じて特定のデータを切り出して整理し直し、別のデータベースに格納したものである。
- ナレッジポータル
- ナレッジマネジメントを効果的に実現するための手段である。ナレッジマネジメントとは、個人の持つ知識や情報を組織全体で共有し、有効に活用することで業績を上げようという経営手法。
- OLAP
- 集計データを迅速かつ容易に表示することで、利用者に対して様々な情報分析機能を提供するシステムもしくはツールのことである。
- データマイニング
- 明示されておらず今まで知られていなかったが、役立つ可能性があり、かつ、自明でない情報をデータから抽出することである。
したがって、次のようになるのでイが正解である。
業務処理で蓄積された多様なデータのデータベースやインターネットから取り込んだデータのデータベースなどを、総合的な情報分析に適するように統合したものを【A:データウェアハウス】と呼ぶ。その【A:データウェアハウス】にある膨大なデータ、例えば、売上履歴にかかわるデータから消費者の購買行動や顧客の嗜好の変化などを、さまざまな手法を用いて分析する技術を【B:データマイニング】という。
一方、企業内での情報共有を進めるに際して、どこにどのような情報があるのか、誰がどのような情報を持っているのかなどを明らかにすることが課題である。それらの課題の解決を支援するためのシステムを【C:ナレッジポータル】と呼ぶ。
設問15
解答:イ
a | XML形式標準プロトコルでメッセージ送受信を行うインターネット技術を組み合わせて、アプリケーションサービスを提供する。 ⇒SOA(Service Oriented Architecture)の説明である。SOA (Service-Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャ)とは、ビジネスプロセスの構成単位に合わせて構築・整理されたソフトウェア部品や機能を、ネットワーク上に公開し、これらを相互に連携させることにより、柔軟なエンタープライズ・システム、企業間ビジネスプロセス実行システムを構築しようというシステムアーキテクチャのことである。 |
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b | 仮想化技術を活用して、インターネット経由でユーザが必要とするサービスを柔軟に提供する。 ⇒クラウドコンピューティングの説明である。クラウドコンピューティングとは、従来は手元のコンピュータで管理・利用していたようなソフトウェアやデータなどを、インターネットなどのネットワークを通じてサービスの形で必要に応じて利用する方式。 |
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c | コンピュータのハードウェアやソフトウェアの利用を、買い取りやリースではなく、利用量による従量制で支払う考え方である。 ⇒グリッドコンピューティングの説明である。グリッドコンピューティングとは、ネットワークを介して複数のコンピュータを結ぶことで仮想的に高性能コンピュータをつくり、利用者はそこから必要なだけ処理能力や記憶容量を取り出して使うシステム。 |
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d | 多数の小型コンピュータをネットワーク経由で協調処理させる形態で、主な視点は処理性能とスケーラビリティにある。 ⇒ユーティリティコンピューティングの説明である。ユーティリティコンピューティングとは、コンピュータ利用形態の1つで、コンピュータリソースをサービス提供者が一括してプールし、それをユーザーの求めに応じて、必要なときに必要な量を提供することをいう。 |
したがって、イが正解である。