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平成24年度1次試験解答:企業経営理論

設問11

解答:ア

サプライチェーン・マネジメント(SCM:供給連鎖管理)とは、物流システムをある1つの企業の内部に限定することなく、複数の企業間で統合的な物流システムを構築し、経営の成果を高めるためのマネジメントのことである。

(ア) アウトバウンドなサプライチェーンは、低価格な汎用部品では有利であるが、頻繁な設計や生産計画の変更に柔軟に対応する場合、外部企業との管理が複雑になりやすく、有利とは言えなくなる。
→○:アウトバウンドとは、航空機・船舶で外国に向かうなど中から外に流れ出ていくことである。低価格な汎用部品では精度の高い管理が不要なので有利だが、頻繁な設計や生産計画の変更に柔軟に対応することが困難なため相対的に有利ではなくなる。
(イ) オープンイノベーションが盛んになるにつれて、大企業間の技術提携が活発になり、技術開発力や特異な生産技術をもつ中小企業は次第に締め出される。
→×:オープンイノベーションとは、自社技術だけでなく他社が持つ技術やアイデアを組み合わせ、革新的なビジネスモデルや革新的な研究成果につなげる方法である。大企業間と中小企業が提携するオープンイノベーションもあり得る。
(ウ) 欧州ではソフトウェアのプラットフォームの国際標準化が活発化しており、わが国中小企業の多くはそのネットワークへ参加して、標準化適応部品の国際受注を増大させている。
→×:欧州ではソフトウェアのプラットフォームの国際標準化が活発化している。しかし、わが国の中小企業の多くはそのネットワークへ参加できていない。
(工) 部品を特定の企業や生産地域に依存しすぎることから生じるリスクを回避する動きが強まっているため、地場産業は受注困難な状況に直面するようになった。
→×:部品を特定の企業や生産地域に依存しすぎることから生じるリスクを回避する動きが強まっている。しかし、地場産業は受注困難な状況に直面してはいない。

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設問12

解答:ウ

(ア) 会計士や弁護士など、社外の教育機関で訓練を受け、仕事のやり方や成果に対して一定の基準を共有しているプロフェッショナルの活用は、判断業務の少ない職場で有効性が高くなる。
→×:会計士や弁護士など、社外の教育機関で訓練を受け、仕事のやり方や成果に対して一定の基準を共有しているプロフェッショナルの活用は、判断業務の多い職場で有効性が高くなる。
(イ) 社内外で部品間のインターフェイスを標準化することで、クローズドアーキテクチャを実現できるとともに、安価な外部部品を利用することが可能になる。
→×:社内外で部品間のインターフェイスを標準化することで、オープンアーキテクチャ(製品の設計を公開することで、他社が互換性のある製品を生産可能にすること)を実現できるとともに、安価な外部部品を利用することが可能になる。
(ウ) 社内の人材を教育訓練したり、社会化を通じて組織文化への同調を求めることを通じて、労働力そのものを標準化することにより、分業が調整しやすくなる。
→○:正しい
(工) 多様な顧客を対象とする営業現場では、作業手順を標準化しマニュアルを用意することで不確実性を減らすことができるが、目標などのアウトプットの標準化は顧客満足度を低下させてしまう。
→×:多様な顧客を対象とする営業現場では、作業手順を標準化しマニュアルを用意することで不確実性を減らすことができる。目標などのアウトプットの標準化は顧客満足度を上昇させることも可能である。(顧客満足度を上昇させることを目標とする等)
(オ) 並行型分業体制をとっている部門間に、目標や評価基準の標準化を導入すると、部門間競争が激化するため、従業員の職務への動機づけは低下してしまう。
→×:並行型分業体制とは、各部門が自己完結的に類似したタスクを実施する分業体制のことである。目標や評価基準の標準化を導入することは部門間で適切な競争と組織の活性化を実現するために有益である。したがって、従業員の職務への動機付けは向上する。

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設問13

解答:ア

  (A)チェーン型 (B)ホイール型 (C)全チャネル型
意思決定への到達速度 ×
伝達の正確性 ×
リーダーが出現する可能性 ×
メンバーの満足度 ×
したがって、アが正解である。

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設問14

解答:オ

組織均衡についてのバーナードサイモン理論は基本的に動機づけの理論である。これらの中心となる公準は以下の通りである。

  1. 組織は組織の参加者の相互に関連した社会的行動のシステムである
  2. 参加者および参加者集団それぞれは組織から誘因を受け、その見返りとして組織に貢献を行う
  3. 参加者は提供される誘因が、参加者が行うことに要求されている貢献と、等しいかあるいはよい大である場合にだけ、組織参加を続ける
  4. 供与される貢献が、組織が参加者に提供する誘因をつくり出す源泉である
  5. 貢献が十分で、その貢献を引き出すに足る量の誘因を供与している限りにおいて、組織は「支払能力がある」-存続し続けるであろう
(ア) 貢献が十分にあって、その貢献を引き出すのに足りるほどの量の誘因を提供しているかぎりにおいてのみ、組織は「支払い能力がある」すなわち存続する。
→○:5が該当する。
(イ) 参加者それぞれ、および参加者の集団それぞれは、組織から誘因を受け、その見返りとして組織に対する貢献を行う。
→○:2が該当する。
(ウ) 参加者のさまざまな集団によって提供される貢献が、組織が参加者に提供する誘因を作り出す源泉である。
→○:4が該当する。
(工) 組織は、組織の参加者と呼ばれる多くの人々の相互に関連した社会的行動の体系である。
→○:1が該当する。
(オ) それぞれの参加者は、提供される誘因と要求されている貢献の差し引き超過分が正の場合にだけ、組織への参加を続ける。
→×:該当するものがない。

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設問15

解答:設問1:ア 設問2:エ

(設問1)

パワーの源泉には次のものがある。

強制力
苦痛を与えたり、欲求不満にさせたりといった身体的制裁や、論理的な欲求を制限すること、あるいはそうすると脅かすことができる力
報酬力
価値のある報酬をあたえることができる力
正当権力
組織の公式の階層における地位によって保有する力
情報力
情報へのアクセスやコントロールを握っていることによる力
専門力
専門技術、特殊なスキルを持っていることによる影響力
同一化による力
他人がそのようになりたいという欲求から生じる力
カリスマ性
魅力的なビジュンを明確に表現できる、個人的リスクをとる、環境やフォロワーに対する配慮を示すなど。
(ア) 相手が高く評価し範例となることからくる同一化パワー
→×:同一化パワーの基礎にあるものは、相互依存関係ではない。
(イ) 相手が必要とする知識・スキル・経験からくるエキスパート・パワー
→○:相互依存関係にある状況で発生するパワーである。
(ウ) 降格・解雇などのように相手がいやがることができる能力からくる強制的パワー
→○:相互依存関係にある状況で発生するパワーである。
(工) 公式的な権限を持っているという相手側の信念からくる合法パワー
→○:相互依存関係にある状況で発生するパワーである。
(オ) 昇進・昇格などのように相手が望むことが与えられる能力からくる報償パワー
→○:相互依存関係にある状況で発生するパワーである。

(設問2)

政治的行動とは、組織における公式の役割の一部として求められたものではないが、組織内における利益ならびに不利益の分配に影響を及ぼす、もしくは及ぼそうと試みる諸活動のことである。

(ア) 政治的行動は、影響を受けた個人の権利を尊重したものであるかどうかの倫理基準が優先される。
→×:政治的行動は、影響を受けた個人の権利を尊重したものであるかどうかの倫理基準が優先されるとは限らない。
(イ) 政治的行動は、課題達成の機会ではなく脅威とみなされると防御的行動につながるが、仕事や職場環境への否定的感情に結びつかない。
→×:政治的行動は、課題達成の機会ではなく脅威とみなされると防御的行動につながる。防御的行動は、仕事や職場環境への否定的感情に結びつく
(ウ) 政治的行動は、公正かつ公平なものであると印象を管理することで正当化され、倫理的ジレンマを回避できる。
→×:政治的行動は、公正かつ公平なものであると印象を管理することで正当化され、倫理的ジレンマが増す
(工) 政治的行動は、不確実性が高く組織目標間の優先順位について意見の不一致があるときに合意形成をつくるメカニズムである。
→○:
(オ) 政治的行動は、倫理的には個人の自己利益と組織目標の双方に合致していることが条件である。
→×:政治的行動は論理的な場合もあれば非論理的な場合もある

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