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平成15年度1次試験解答:企業経営理論

設問11

解答:設問1:イ 設問2:オ 設問3:エ

(設問1)
(イ)通貨調整や原油価格急騰などで日本製品の価格競争力が失われた。
→○:昭和50年代に輸出が振るわなくなった時代的背景には、次のようなものがある。

  • ドルショック
  • 為替変動相場制
  • オイルショック
(設問2)
(ア) FAZ 内に新たに生産拠点を設けて、為替差益を享受する立地戦略を押し進めた。
→×:FAZ(Foreign Access Zone:輸入促進地域)とは、日本の貿易不均衡の打開策の一環として、輸入の促進と地域振興・対内投資を推進しようと設定された地域。具体的には港湾・空港およびその周辺の地域における輸入促進のためのインフラストラクチャーの整備事業の支援措置であり、〈輸入の促進および対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法〉を基盤としている。この法律は平成4年に成立されたものであり、時代的にあわない。
(イ) 中国に100%出資の子会社を設置して、コスト優位な生産力を強化した。
→×:日本企業が中国に進出し始めたのは後年のことである。
(ウ) テクノポリスへの立地によって、輸出競争力の再構築を図った。
→×:テクノポリスとは、高度技術集積都市、及びそれを実現するための計画である。先端技術産業を中核とした産・学・住が一体となった街づくりを促進し、研究開発施設など各種産業基盤の事業整備等の推進を通じて地域経済の振興と向上を目指すことを目的としている。輸出競争力を高めるものではない。
(工) 米国内に生産拠点をおいて、生産余剰分を日本に持ち帰って国内市場の開拓を図った。
→×:米国内に生産拠点をおいたのは、主に貿易摩擦回避目的である。また米国内に拠点をおいて日本に持ち帰ってもコストがかかることもあり、国内に輸入されることなく現地で販売された。
(オ) 輸出が振るわなくなったので、海外からの部材等の調達を進めて国内競争力を強化した。
→×:問題文中に「輸入貢献企業の表彰」との記述があることからも、「海外からの部材等の調達」に触れたオが正解である。

(設問3)
(ア) 現地従業員の研修を行い、熟練の形成や自社の経営慣行の習得を促進する。
→○:異なる文化をもつ現地の従業員に研修を行なったり、管理をすることは重要である。
(イ) 社長直属の海外事業の統括部門をおいて、国内と海外のビジネスを一元的に管理し、すばやい対応を図る。
→○:新事業でもあるし、ジリ貧状態からの巻き返しをはかるという社運をかけているので社長主導の全社的な取組は有効である。
(ウ) 中国での事業運営ノウハウやリスクの管理能力などの不足は、中国企業や日本企業との戦略的提携で補完する。
→○:より共同意識の高い戦略的提携を行うことで、不確実性に対処する。
(工) 中国の合弁先には償却済みの古い設備を移転し、出来上がった在来型製品の日本への持ち帰りを中止して、消費の盛り上がっている上海や北京での自社販売にそれを振り向ける。
→×:償却済みの古い設備では競争力の向上にはならない為に巻き返しは困難である。

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設問12

解答:ア

オープンアーキテクチャに関する問題である。
 オープンアーキテクチャ戦略とは、機械製品などの設計を公開し、技術力の無いメーカーでも同様の製品・互換機を生産可能にすることである。自社製品の設計を公開し、他企業が互換性を持つ補完製品を開発してくれることで、結果的に競合他社を駆逐し、自社の利益につなげる。

(ア) インターフェースを標準化することによって、製品のモジュール開発が促進される。
→○:正しい。
(イ) コア・コンポーネントの開発では高度な技術と多額の資金が必要であり、他社のオープンな参加が必要である。
→×:コア(核)の部分には他社の参加は求めない
(ウ) コア・コンポーネントの設計について、他社と共同して先端的な技術を駆使することが必要になっている。
→×:コア(核)の部分には他社の参加は求めない
(工) 製品の実装部品や加工デザインが高度になるにつれて、製品の技術の構造解析が重要になってきている。
→×:製品の技術の構造解析は自社で行なうべきである

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設問13

解答:設問1:ア 設問2:ウ 設問3:ウ

(設問1)
(ア) 地場産業では生産技術が独立の中小企業群によって社会的に分業されている。
→○:地場産業とは、主として地元の資本による中小企業群が、一定の地域に集積して、技術、労働力、原材料、技能(伝統を含む)などの経営資源を活用し、生産、販売活動をしているものである。
(イ) 政府は産地保護のために、独自な技能研修施設を主要な産地に設置運営している。
→×:政府は地場産業新興のために補助金は交付しているが、独自な技能研修施設は用意していない
(ウ) 大正時代末までに確立された技術や原材料に基づく特産品を特に伝統的工芸品という。
→×:伝統的工芸品の定義は、日用品であること、手作りであること、100年以上の積み重ねがあること、産地が形成されている(30人以上の従事者がいること。)ことなどである。「大正時代末」のように限定されていない
(工) 特産品には産地ブランドの表示が義務づけられている。
→×:産地ブランドの表示は義務づけられていない。
(設問2)
(ア) 経営資源に恵まれない中小企業は各種の支援や保護がなければ独自な発展をたどれなかった。
→○:旧中小企業基本法では、中小企業を弱者として保護の対象としている。
(イ) 下請中小企業と親企業との間の経営格差が顕著であった。
→○:正しい
(ウ) 衰退業種の中小企業のための工業団地は産業集積の契機であった。
→×:工業団地は、土地の合理的利用、整然とした都市計画、産業公害の防止が目的であり、衰退業種の救済が目的ではない
(工) 中小企業は大手企業に比べて技術的にも経営的にも近代化が遅れていた。
→○:正しい


(設問3)
産業クラスターとは、米国の経営学者マイケル・E・ポーターが提示した概念で、「特定分野における関連企業、専門性の高い供給業者、サービス提供者、関連業界に属する企業、関連機関(大学、規格団体、業界団体など)が地理的に集中し、競争しつつ同時に協力している状態」のことである。

(ア) 柔軟にシステム変更できる分業構造として、多数の企業が互いに専門性を活用 しあう。
→○:それぞれが専門分野に特化した柔軟な分業関係を構築することができる。
(イ) 地理的に近い企業が、お互いに公正な取引を促進する。
→○:正しい
(ウ) 地理的に集積しているのでロジスティクス面で有利だが、範囲の経済性を犠牲にする。
→×:範囲の経済性とは、異なる複数の事業の共有可能なコストを一元化することにより、企業全体の経営の効率化を図ることである。クラスターによって範囲の経済性も高めることができる
(工) 密度の濃い情報交換を促す接触の経済性が高まる。
→○:企業間の地理的緊密性を要因とするフェイス・ツー・フェイスの交流や、多彩な技術を持った企業との分業ネットワーク等といった集積機能が、事業転換の促進や付加価値の向上につながる。

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設問14

解答:ウ

経営計画に関する問題である。

(ア) ある日突然に異分野から登場する技術や新製品の予測は難しいので、その対応を計画に盛り込む必要はない。
→×:異分野から登場する技術や新製品の予測は難しい。しかし、長期計画策定段階でそれを無視してはいけない。状況変化に応じて機動的に適応できる予備的計画をあらかじめ作成し、経営の弾力性を確保しておく必要がある。
(イ) 経済の長期不況のもとでは、自社の高い成長予測を立てなくてもよい。
→×:経済の長期不況のもとでも、可能であるならば、高い成長予測を立てても良い。また経営計画を好不況の波に委ねてはいけない。
(ウ) 顧客のニーズや技術の変化を考慮して、柔軟性を確保した予備計画を想定すべきである。
→○:コンティンジェンシー・プランなどのように予備計画を想定すべきである。コンティンジェンシー・プランとは、企業の業績に対する影響の大きい不足事象をあらかじめ想定し、その適応行動を事前に策定しておき、その内容を具体化したものである。
(工) 長期経営計画は策定時の予測が変化してゆくので、毎年度新規に策定すべきである。
→×:長期計画は、基本的には毎年3〜5年スパンを対象とする。毎年新規に策定する必要はない。
(オ) 長期経営計画は毎月度の部門別の詳細なアクション・プランを盛り込んでおかなければならない。
→×:長期経営計画では詳細なアクション・プランを盛り込む必要はない。詳細なアクションプランを盛り込むのは、短期計画である。

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設問15

解答:設問1:エ 設問2:ア 設問3:ア

(設問1)
(ア) 組織成員がこれまで蓄積してきた経験や技能を無にしてしまうような変革案は、移行過程において抵抗を生みやすく、望ましくもない。
→×:大きな変革がどうしても必要な場合には、組織成員がこれまで蓄積してきた経験や技能を無にしてしまうような変革も時としては必要である。
(イ) 組織変革における移行過程で、従業員が抵抗することは、その変革案に問題があることを意味するので、すぐに変革案を修正すべきである。
→×:従業員が抵抗することは、未知の仕事への不安や既得権益を失うかもしれないという不安からである。このことからも分かるように変革案の質が問題ではないので、すぐに変革案を修正するべきではない。
(ウ) 組織変革の結果、新しい組織でどのような部署に所属するのか、どのような権限を持ち処遇されるのかは、組織成員それぞれの生活にかかわることなので、変革の初期段階では伝えるべきではない。
→×:変革の初期段階で変革の内容は伝えるべきである。情報開示を適切に速やかに行なわないと抵抗は激しくなる。
(工) 抵抗を避けるには、組織成員に、新しい組織に適応するための十分な教育・訓練の時間と機会が提供される必要がある。
→○:新しい組織に適応するための十分な教育・訓練の時間と機会を提供すべきである。
(オ) 変革に対して不安や抵抗が生まれないよう、組織変革は推進者以外に公開せず一気に進めることが望ましい。
→×:変革の内容は初期段階で変革対象者全員に伝える必要がある。
(設問2)
(ア) 組織内の秩序維持に貢献してきた既存の組織構造に変革が及ぶ場合、日常業務への統制力が失われ混乱が生じることが多い。
→○:混乱は、組織内に制度化されていた既存の秩序が破壊されることによって起こる。
(イ) 組織変革における移行過程で、逸脱や混乱が発生した場合、速やかに変革目標を修正することが望ましい。
→×:組織変革における移行過程で、逸脱や混乱が発生した場合においても、必ずしも変革目標の質が問題ではない。よってすぐに修正することは望ましくない。
(ウ) 組織変革における移行過程では、インフォーマルなコミュニケーション・チャネルを使用すると混乱が発生しやすいので、既存の組織構造におけるフォーマルなコミュニケーション・チャネルのみを利用するよう心がける必要がある。
→×:組織変革においては、大きな混乱が予想されるので公式(フォーマル)・非公式(インフォーマル)双方のチャネルを使用するべきである。
(工) 組織変革における移行過程で予期しない問題が発生した場合、それを速やかに解決するよりは、その問題がどのような原因で生まれたかを時間をかけて分析し対処しなければならない。
→×:組織変革における移行過程で予期しない問題が発生した場合、変革の勢いを削がないために迅速な対応が必要である。
(オ) 組織変革によって影響を受ける人々を、あまり早い段階から変革過程に参加させると、無用な混乱を生む可能性があるので避けることが必要である。
→×:組織変革によって影響を受ける人々を変革の早い段階から参加させることで、彼らの変革への動機づけを高めたり、決定結果を承諾させやすくなる。
(設問3)
(ア) 組織内の下位集団間に対立が見られる場合、外部環境の脅威など組織外部に共通の敵をつくることで、協働を生み出すことができる場合がある。
→○:組織内の下位集団間に対立が見られる場合、外部環境の脅威など組織外部に共通の敵をつくることで、皆が協働して行動するようになる。
(イ) 組織内の下位集団間に対立が見られる場合、それぞれの集団のリーダーに問題があることが多いので、そのようなリーダーを組織から排除すべきである。
→×:対立の原因はリーダに問題があるからとは限らない。また仮にリーダを組織から排除しても対立は解消しないであろう。
(ウ) 組織における中心的な権力集団の存在は、大きな抵抗勢力となりやすいので、それらからの協力の確保は政治的駆け引きを生みやすく避けるべきである。
→×:組織における中心的な権力集団の協力を得なくては、変革は困難である。すなわち、積極的に中心的な権力集団に協力を得られるようにするべきである。
(工) 組織変革における移行過程で対立が生じる原因は、変革の方向を自己に有利なように導こうとする人々がいるからであり、そうした人々は直ちに処分しなければならない。
→×:直ちに処分するのではなく変革への支持を取り付けるように努力するべきである。
(オ) 組織変革における移行過程では、株主や労働組合は対立しやすいので、変革計画の策定にこれらの代表者を参加させることは好ましくない。
→×:株主や労働組合を計画策定段階から参加させることが望ましい。

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設問16

解答:ア

(ア) ある企業に長く勤続している従業員は、その企業にとって特殊な専門能力も高くなるので、他の企業に移る可能性が低くなる。
→○:その企業にのみ通用する能力は他社では通用しないことが多い。そのような従業員は他企業に移る可能性は低い。
(イ) 景気が良くなると給与水準も高くなるので、離職しようとする欲求は低くなる。
→×:景気が良くなると求人の質・量ともに向上するので、離職しようとする欲求は高くなる。
(ウ) 現在の企業内で課される職務と、企業外で果たす役割との適合性が高いと、離職しようという欲求も高くなる。
→×:現在の企業内で課される職務と、企業外で果たす役割との適合性が高いと、不満も発生しにくい為に、離職しようという欲求も低くなる。
(工) 従業員は組織内の職務が自分のイメージに合わないと感じると、すぐに離職する傾向がある。
→×:全従業員が、すぐに離職する傾向があるとは、一概にはいえない。
(オ) 大規模な組織に所属する従業員ほど、定型的な職務が増えるので、離職しようとする願望が強くなる。
→×:定型的な職務が増えると、離職しようとする願望が強くなるとも限らない。また大規模な組織が定型的な職務が多いとも限らない。

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設問17

解答:設問1:イ 設問2:ウ

組織形態に関する問題である。

(設問1)
 組織構造は次のようになる。よって解答はイとなる。
解答

(設問2)
(ア) 機能別組織は、それぞれの機能について専門化が進むため、頻繁に技術革新が必要とされる業界で採用される傾向がある。
→×:頻繁に技術革新が必要とされる業界には適さない。頻繁に技術革新が必要とされる業界に適すのはマトリックス組織やプロジェクト組織が適している。
(イ) 事業部制組織では、各事業部に分権化が進められるため、次の世代の経営者を育成することが困難になる傾向にある。
→×:事業部制組織では、各事業部に分権化が進められるため、次の世代の経営者を育成するのに適している。
(ウ) 事業部制組織は、デュポン式の財務統制方式と併用されることが多い。
→○:デュポン式財務統制とは、総資本利益率を売上高利益率と資本回転率との積により求めるオーソドックスな経営分析手法である。事業部制組織は、デュポン式の財務統制方式と併用されることが多い。
(工) プロジェクト組織では、機能マネジャーに大きな権限が付与されるため、しばしばプロジェクト・マネジャーと機能マネジャーとの対立が起こりやすい。
→×:プロジェクト組織では、機能マネージャーよりもプロジェクト・マネジャーに大きな権限が付与される。
(オ) マトリックス組織は、トップマネジメントにかかる情報処理負荷が高いため、グローバルに事業を展開している企業にとっては不適当である。
→×:マトリックス組織は、トップマネジメントにかかる情報処理負荷が高いとはいえない。またマトリックス組織は、グローバルに事業を展開している企業にとっては適している。

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設問18

解答:設問1:エ 設問2:イ

(設問1)
(ア) ある焦点組織にとって重要な資源は、外部環境構成者にも重要であるから、価格は高くなる。
→×:資源の重要度は、組織の事業内容によって異なるため、外部環境構成者にも重要であるとは限らない。
(イ) 価格の安い資源は、大量に購入することができるから、資源としての重要性も低い。
→×:価格の安い資源が資源としての重要性が低いとは限らない。
(ウ) 電力のように低価格で豊富にある資源は、常に重要性が低くなる傾向にある。
→×:資源の重要性は、価格では決まらない。また電力が資源としての重要性が低いわけではない。
(工) 保守サービスのようなスタッフ・サービス的資源でも、機械の故障などの状況では、資源としての重要性は高くなる。
→○:平常時は重要性は低くても、機械の故障などの状況では、資源としての保守サービスの重要性は高くなる。
(設問2)
(ア) 機械設備などの資源の使用法などに関する自由裁量は、それを実際に使用する従業員ではなく、経営者の方がにぎっている。
→×:機械設備などの資源の使用法などに関する自由裁量は経営者よりも従業員が持っている場合が多い。
(イ) 焦点組織の意思決定プロセスで用いられる情報をコントロールできる外部環境構成者は、その企業が使用する資源に対する自由裁量を持っているといえる。
→○:焦点組織の意思決定プロセスで用いられる情報をコントロールできる外部環境構成者は購入後も自由裁量を持つであろう。
(ウ) 政府・行政組織などは、民間企業が利用できる資源の量や使用法を制限するための許認可権を行使することはできない。
→×:政府・行政組織などは、民間企業が利用できる資源の量や使用法を制限するための許認可権を行使することはできる。
(工) 我々が住んでいる私有財産制社会では、資源に対する所有権を持つものだけが、その資源の利用や配分に関する自由裁量を持つことができる。
→×:所有権を持つものだけが、資源の利用や配分に関する自由裁量を持つわけではない。

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設問19

解答:設問1:エ 設問2:イ 設問3:エ

(設問1)
(ア) 従業員の離職率が低い職場では、個人の知識の変化が個人行動の変化になって現れなくなる可能性は低くなる。
→×:離職率と個人の知識の変化が個人行動の変化になって現れなくなる可能性は関係ない。
(イ) 職務・責任・権限関係が明確に定められていないと、個人の知識の変化が個人行動の変化につながらなくなる可能性が高まる。
→×:職務基準が厳格に定められている場合、知識の変化が行動の変化を促す可能性は低下する。
(ウ) 職務に対する報酬が十分に支払われている職場では、個人の知識の変化が個人行動の変化になって現れる可能性が高まる。
→×:職務に対する報酬が十分に支払われている職場では、知識の変化が行動の変化になって現れる可能性は低下する。
(工) 職務に忠実に行動する組織メンバーが多いと、個人の知識の変化が個人行動の変化につながらなくなる可能性が高まる。
→○:個人が現在行っている定形業務について不条理を感じても、社内の規定や手続きの存在により職務に忠実である場合、行動の変化につながらない場合がある。
(オ) 組織メンバーが組織目標に完全に一体化していないと、個人の知識の変化が個人行動の変化につながらなくなる可能性が高まる。
→×:組織メンバーが組織目標に完全に一体化していると個人の知識の変化が個人行動の変化につながらなくなる可能性が高まる。
(設問2)
(ア) 階層的組織ではコミュニケーションの経路が明確に規定されているため、個人行動の変化が全体組織の行動の変化に結びつく可能性が高まる。
→×:階層別組織では、部門組織の独立性が相対的に高く、組織間のコミュニケーション・チャネルが必ずしも明確ではないので、断絶が発生しやすい。
(イ) 下位組織にそれぞれ独自の文化が形成されてくると、部門間コンフリクトが発生しやすくなるため、個人行動の変化が全体組織の行動の変化に結びつかなくなる可能性が高まる。
→○:正しい
(ウ) 下位部門に十分な権限の委譲が行われていない組織では、個人行動の変化が全体組織の行動の変化に結びつかなくなる可能性が高まる。
→×:各下位部門に権限委譲が行われると、ますます各下位部門において独自の文化が形成されるようになる。その結果、組織学習の断絶がおこる。
(工) 集団の凝集性が高いと、個人行動の変化が全体組織の行動の変化に結びつかなくなる可能性が高まる。
→×:集団の凝集性とは、集団が構成員を引きつけ、その集団の一員であり続けるように動機づける度合いのことである。集団の凝集性が高いと、個人行動の変化が全体組織の行動の変化に結びつかなくなる可能性は低くなる。
(オ) 職務・責任・権限関係が明確に定められていないと、個人行動の変化が全体組織の行動の変化に結びつかなくなる可能性が高まる。
→×職務・責任・権限関係が明確に定められていないと、個人行動の変化が全体組織の行動の変化に結びつかなくなる可能性は低くなる。
(設問3)
(ア) 組織があらかじめ明確に定められた情報収集メカニズムを採用していれば、個人レベルの学習は適切に行われる可能性が高くなる。
→×:組織があらかじめ明確に定められた情報収集メカニズムを採用していると、メカニズムに合致しない情報は棄却されてしまい個人レベルの学習には生かされなくなる。その結果、個人レベルの学習は適切に行われる可能性が低くなってしまう。
(イ) 組織の行動の変化はただちに環境の変化となって現れるため、環境の変化を注意深く観察していれば、組織の行動が正しかったか否かは容易に理解できる。
→×:組織の行動の変化はただちに環境の変化となって現れるものではない。また組織の行動が正しかったか否かは容易に理解できない。
(ウ) 高い成果をあげた組織の行動は、その前提となっている組織メンバーの知識が正しいことから生まれたものであるので、その知識は強化されるべきである。
→×:高い成果をあげた組織の行動は、その前提となっている組織メンバーの知識が正しいことから生まれたものであると一概にはいえない。
(工) 人間は高い成果が得られた場合は自己に、低い成果が得られた場合には他者に因果を帰属させる傾向があるため、組織の行動と環境の変化との因果関係を正しく認識することが困難である。
→○:正しい。人間は、成功の要因を自らに帰し、失敗の責任を他者に転嫁しがちである。
(オ) 低い成果しかあげない組織の行動は、その前提となっている組織メンバーの知識が誤っていることから生まれたものであるので、その知識は棄却されるべきである。
→×:低い成果しかあげない組織の行動は、その前提となっている組織メンバーの知識が誤っているとは限らない。

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設問20

解答:ウ

 組織文化とは、組織構成メンバーによって共有された価値、理念、規範で、価値観、ものの考え方、 思考様式、行動規範などの行動パターンの集合体のことである。

(ア) 一般に組織文化は、インフォーマルなコミュニケーション・ネットワークの上に形成されるので、公式組織の責任―権限関係を補完・強化する方向に作用する。
→×:一般に組織文化は、インフォーマル(非公式)なコミュニケーション・ネットワークの上に形成されるのではない。フォーマル(公式)なコミュニケーション・ネットワークの上に形成されるべきである。
(イ) 市場において有力な競争相手が出現してこない環境で、長期にわたって高い成果をあげている企業組織には、一般に革新的な組織文化が形成されやすい。
→×:市場において有力な競争相手が出現してこない環境で、長期にわたって高い成果をあげている企業組織には、一般に保守的な組織文化が形成されやすい
(ウ) 組織文化の形成には、従業員に知覚された経営管理者の日常行動が大きな影響を与えている。
→○:経営管理者の個性や行動が組織文化を形成する。
(工) 組織文化は非常に長い期間をかけて作られてくるものであり、その組織のメンバー に深く根付いているものであるから、変化することはない。
→×:組織文化は常に変化する
(オ) 手続きを重んじる組織文化が強い企業は、環境の変化に対する適応力も高いので、長期にわたって競争力を維持することができる。
→×:手続きを重んじる組織文化が強い企業は、環境の変化に対する適応力は低い。また変化に弱いので長期にわたって競争力を維持しにくい

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