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平成13年度1次試験問題:企業経営理論

設問11

 同じ業界で、同じような規模や技術で、同じような製品やサービスを提供する企業ならば、その戦略行動も似たようなものになると思われる。このような場合、経済学で描く企業は同一の行動を合理的に展開することを仮定するが、現実の企業をみてみると、それぞれの企業は独自な戦略を構築してユニークな行動を展開している。@企業はなぜ独自な戦略行動を展開することができるのであろうか。また、そのようなA独自な戦略もいくつかに類型化できそうである。それはどのようなものであろうか

(設問1)
 下線部@のような疑問にどのように答えることができるであろうか。適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
(a)企業で働く人々がそれぞれに個性的であるため、生産や販売の現業部門での対応行動もユニークなものになるからである。
(b)企業は似通った技術や組織を採用していても、直面する環境をどのように解釈するかで、戦略のとり方が異なるからである。
(c)本来同じ条件ならどの企業も同じように行動するにもかかわらず、誤った戦略的な意思決定の結果、企業行動にバラツキが生じるからである。
(d)企業の抱くビジョンは個々にユニークであり、ビジョンに導かれて戦略、組織、技術などが全体として独自な体系をなして、ユニークな行動を展開するからである。

【解答群】
(ア)a とb
(イ)b とc
(ウ)b とd
(エ)c とd

(設問2)
 下線部Aのような戦略類型として、チャレンジャー、リーダー、フォロワー、ニッチャーなどをあげることができる。これらの類型の説明のうち適切なものはどれか。

【解答群】
(ア)チャレンジャーは、技術力を武器に他社に先駆けて市場に参入しようとするタイプの企業であり、技術変化の早い分野には多いタイプである。
(イ)リーダーは業界トップの巨大企業のことであり、新規分野への進出を避けながら保守的な経営戦略を展開する。
(ウ)フォロワーは先走りはしないが、先発企業の行動を観察し、それを上回る巧妙な手段を用いて市場占拠率を高めようとする企業であり、開発費の負担が軽く、他の戦略類型と比較して業績も常に良い。
(エ)ニッチャーは追いこまれた中小企業に残された最後の戦略であり、他社が参入しにくい、狭い市場で細々と生き残ろうとする戦略である。

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設問12

 組織がその目標を達成しうる程度を「組織の有効性」ということができる。これに関連して、ある研究者によれば、有効性を見るには2つの次元があるという。第1の次元は有効性指標の「焦点(focus)」であり、組織の支配的価値が外部を志向しているのか、それとも内部を志向しているのかを意味する。また、第2の次元は組織の「構造(structure)」に関するもので、安定性か、柔軟性かを表すものである。安定性とはトップダウン・コントロールを強調するモデルであり、一方、柔軟性は変化と適応に価値を置くモデルである。この2つの次元を用いると、組織の有効性に関する@4つのモデルを得ることができるという。Aオープンシステム・モデル、合理的目標モデル、内部プロセス・モデル、B人間関係モデルである。


(設問1)
 下線部@の4つのモデルを分類して表示した場合、適切なものはどれか。

【解答郡】
問題

 

(設問2)
 下線部Aのオープンシステム・モデルの特徴として最も適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア)風通しのよい組織を構築するために、成員間に開かれたコミュニケーション機会を増加させることに意を用いることになる。
(イ)管理者の主要な目標は、成員の意識を、組織の外に向けさせることに重点が置かれる。
(ウ)組織の成長と資源の獲得のために、外部環境と良好な関係を構築することに中心的な価値が置かれる。
(エ)他の組織や環境に従属ないし支配されるシステムではなく、それ自体で自己完結的に行動できる、独立性をもったシステムである。


(設問3)
 下線部Bの人間関係モデルの特徴として最も適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア)集団心理的に安定的な組織構造を作り上げることに中心的な価値が置かれる。
(イ)情報管理や意思決定のためのメカニズムを構築するために、組織内の効果的なコミュニケーションが重視されることになる。
(ウ)職場集団の凝縮性を高め、高いモラルを維持するねらいから、職務関連の教育よりも情操関連の教育に特に力が入れられることになる。
(エ)人的資源組織の開発に主要な関心がおかれ、成員にはそのための機会と自律性が与えられる。

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設問13

 モチベーション(動機づけ)は、組織成員の行動のエネルギー、行動の方向ならびに行動の持続性を説明する概念である。経営の場におけるモチベーションに関する以下の説明について最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

(a)行動を動機づける環境要因は、個人の職務要因であるから、給与やさまざまなフリンジ・ベネフィットの改善は、根本的な問題から目をそらさせるに過ぎない。
(b)行動を動機づける特定の個人要因はさまざまな欲求であるから、いわば無限ともいえるものである。したがって組織は自らが提供できる範囲を超えて成員の欲求を膨張させない努力が必要となる。
(c)達成感、達成の承認、責任などの要因が強く働かない場合でも、職場の衛生要因が十分であれば、職務に対する不満が大きく高まることはないであろう。
(d)動機づけのためには仕事自体の改善もさることながら、経営方針や作業条件など、不満を予防する要因の改善も重要な意味をもつ。

〔解答群〕
(ア)a とb
(イ)a とd
(ウ)b とc
(エ)c とd

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設問14

 職場が職場としての機能を十分に果たすためには、(1)目標に関する合意、(2)成員の欲求充足、(3)適切な構造化、(4)効果的なリーダーシップ、(5)各成員の能力の活用など、 いくつかの条件が満たされる必要がある。


(設問1)
 文中の(3)の「適切な構造化」を実現するには種々の課題があるが、それが十分に機能する上で、次のうち、最も重要なものはどれか。

【解答郡】
(ア)階層別教育体系
(イ)職場成員の役割体系
(ウ)性別・年齢別等の人員構成
(エ)組織内価値基準の明確な序列


(設問2)

 文中の(4)の「効果的なリーダーシップ」に関して、ある研究者によれば、リーダーシップの第1のステップは、変革の方向性を示すこと、第2のステップは、組織構成員をその方向に向けさせること、そして第3のステップは困難を乗り越え、目標達成に向けて行動を開始させることであるという。
 次にあげる方法のうち、特に第2のステップで最も効果を発揮するものと考えられるものはどれか。

【解答郡】
(ア)指示命令系統の強化
(イ)高齢者の積極的活用
(ウ)賃金、労働時間等などの労働条件の改善
(エ)ビジョンを共有するためのコミュニケーション

(設問3)
 文中の(1)〜(5)のほかに、もう1つ重要な条件をあげるとすれば、最も適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア)一元的で厳格な指示・命令と服従・報告の体系
(イ)集団の仕事志向的な文化・風土
(ウ)就業規則による明確な従業員序列
(エ)上下・左右のなごやかな人間関係

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設問15

 OJTに関する説明として適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア)OJTは業務時間中に、業務を一時的に離れて、上司や先輩が部下に対して教育を行う日本に特有の人材教育法である。
(イ)OJTは職務上必要のある技能修得の目的で行われる教育法であり、アメリカから導入されたマニュアル教育が中心となっている。
(ウ)OJTは公的資格取得のための教育機会の提供に重点がおかれることが多い。
(エ)OJTは日常業務において、上司や先輩がその作業や職務の遂行過程で、必要な知識、技能、問題解決能力などを計画的に教育・訓練する手法である。

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設問16

現行法のもとでの派遣労働に関する記述として適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア)職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の配慮は、派遣先ではなく派遣元事業主に義務付けられている。
(イ)派遣労働者に時間外労働を求める場合には、派遣元事業主と派遣労働者の間に労使協定(三六協定)が締結されなくてはならない。
(ウ)派遣労働者は派遣期間の長さ等にかかわらず、原則として社会保険(健康保険、厚生年金)への加入義務はないが、加入が望ましい。
(エ)労働者派遣が認められるすべての業務について、最長3年までの契約更新が認められている。

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設問17

人事考課に関する記述として最も適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア)従業員の適切な処遇、有効活用、および教育・訓練や能力開発の基礎資料となる個人情報を得ることが目的とされる。
(イ)納得性を確保する観点から、勤務記録や生産・能率記録などの客観的データによる把握が中心となっている。
(ウ)能力主義管理の進展のなかで、「人材の効果的な活用と開発への利用」よりも、 「成績査定」の色彩が濃くなり、考課基準などを対象者に公表しない傾向が強まっている。
(エ)ライン管理職が「相対評価」で一次考課を行い、部門長が「絶対評価」で二次考課を行い、さらに人事部門が一次考課、二次考課の結果を検証するというプロセスが一般的である。

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設問18

次の文章を読んで、文中の空欄に適切な用語を下記の解答群から選べ。

  賃金の秩序は、同時に労働能率発揮の秩序であって、もし賃金秩序の大幅な改変を伴う賃金制度や賃金形態の改革が強行されれば、労働能率の低下、労使紛争の発生など、賃金制度が本来的に持っている労働意欲の向上や労働能率の発揮という能率刺激的な効果は期待できないことも考えられる。
 しかも大事なことは、今日では、大工場労働制に典型的に示されているように、多数かつ多種の労働者の【 設問 】という「組織」を編成して、工場生産や販売が継続的に行われている。


〔解答群〕
(ア)協業と分業
(イ)運命共同体
(ウ)使命と価値
(エ)テンポラリーな集合体

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設問19

年次有給休暇に関する記述として適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア)1年間(初年度は6ケ月)継続勤務し、その1年間(初年度は6ケ月)の全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、企業が褒賞として与える休暇である。
(イ)パートタイム労働者、アルバイト、嘱託等の非正規社員の場合には法的には適用の対象となっていないが、所定労働日数に応じて付与することが望ましい。
(ウ)労働者が指定した時季に与えなければならないが、労働者が時季を指定することのできる期間は付与された日から2年間である。
(エ)労働者の権利として法律で認められているものであるが、存立が危ぶまれるまでに当該企業の業績が悪化したような場合には、労使協定の締結を条件として、付与の義務と取得の権利を制限できる。

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設問20

次の解雇のうち、法律上禁止されているものはどれか。

【解答郡】
(ア)育児休業又は介護休業の期間中の解雇のすべて
(イ)業務外の傷病による休業期間及びその後30日間の解雇
(ウ)業務成績が著しく不振であることを理由とする解雇
(エ)女性が婚姻、妊娠、出産したことを理由とする解雇

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