平成20年度1次試験問題:経済学・経済政策
設問6
下図は、投資の利子弾力性がゼロである場合を想定したIS-LM曲線を描いたものである。この図の説明として最も適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) GDPの水準は生産物市場の動向とは無関係であり、貨幣市場の動向から決定される。 (イ) 貨幣供給が増加しても利子率は不変であり、投資は一定の水準に維持される。 (ウ) 貨幣供給の増加は利子率の低下を通じて投資の拡大を引き起こす。 (エ) 政府支出の増加により利子率の上昇が生じるが、クラウディング・アウトは発生しない。 (オ) 政府支出の増加はGDPの拡大を引き起こすが、クライディング・アウトが生じる分だけGDPの拡大は抑制される。
設問7
GDPと外国貿易に関する次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
いま、自国と外国の2国モデルを仮定し、自国と外国の生産物市場の均衡条件がそれぞれ次のように与えられているとする。
Y=C+I+G+X-M
Y*=C*+I*+G*+X*-M*
ここで、Y:GDPまたは所得、C:消費、I:投資、G:政府支出、X:輸出、M:輸入であり、記号の右肩に*を付したものは外国の変数である。なお、自国の輸出Xは外国の輸入M*に等しく、自国の輸入Mは外国の輸出X*に等しい。
自国の消費関数と輸入関数はそれぞれ
C=cY
M=mY
で示され、c:限界消費性向、m:限界輸入性向である。また投資支出と政府支出はおのおのI=I0、G=G0である。
同様に、外国の消費関数と輸入関数はそれぞれ
C*=c*Y*
M*=m*Y*
である。外国においても、投資支出と政府支出はおのおのI*=I*0、G*=G*0である。
このとき、自国と外国の生産物市場の均衡条件は次のように表される。
Y=cY+I0+G0+M*Y*-mY
Y*=c*Y*+I*0+G*0+mY-m*Y*
この結果、自国のGDPの決定式は
Y = (I-c*+m*)(I0+G0)+m*(I*0+G*0)) (I-c*)(I-c+m)+m*(I-c)
になる。
同様に、外国のGDPの決定式は
で表される。
Y* = (I-c+m)(I*0+G*0)+m(I0+G0)) (I-c)(I-c*+m*)+m(I-c)
上記の2国のGDP決定式から、自国や外国の財政政策の変更が両国のGDPにいかなる影響を与えるかが明らかにされる。
(設問1)
文中の下線部について、自国の政府支出Gが増加した場合の経済効果の説明として最も適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) 外国では経常収支の悪化を通じてGDPが拡大する。 (イ) 外国のGDPの拡大を通じて自国の輸出が誘発され、自国のGDP拡大効果は大きくなる。 (ウ) 自国では経常収支の改善を通じてGDPが拡大する。 (エ) 自国のGDPを増加させるが、外国のGDPを減少させ、近隣窮乏化を引き起こす。
(設問2)
文中の下線部について、外国の政府支出G*が増加した場合の経済効果の説明として最も適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) 外国では経常収支の悪化を通じてGDPが拡大する。 (イ) 外国のGDPの拡大を通じて自国の輸出が誘発され、自国のGDP拡大効果は大きくなる。 (ウ) 自国では経常収支の改善を通じてGDPが拡大する。 (エ) 自国のGDPを増加させるが、外国のGDPを減少させ、近隣窮乏化を引き起こす。
設問8
次の自由貿易地域に関する文章を読んで、自由貿易地域が形成された場合の経済効果の説明として最も適切なものを下記の解答群から選べ。
下図は、自国と2つの外国(X国とY国)間の貿易取引を表し、自国の輸入競争財市場(たとえば農産物)を対象としている。農産物の国内需要曲線がDD、国内供給曲線がSSで描かれている。
いま、X国からの農産物の輸入価格がP0、Y国からの農産物の輸入価格がP1であるとする。このとき、自由貿易を想定すれば、農産物はより安価なX国から輸入され、Y国から輸入されることはない。また、両国からの輸入に関税(T円)を同じだけ賦課したとしても、(P1+T)が(P0+T)よりも大きいため、農産物は依然としてX国から輸入され続ける。ここで、(P0+T)をP2で示し、(P1+T)線は図示していない。
ところが、X国からの輸入には関税を賦課したままで自国とY国が自由貿易地域を形成した場合、Y国に対する輸入関税は撤廃され、両国からの輸入価格はP2>P1になるから、農産物の輸入先はX国からY国に切り替わる。
【解答群】 (ア) △EIJと△HKLの和が□FGLIより大きければ、自由貿易地域を形成することによって自国の総余剰が増加する。 (イ) 自由貿易地域が形成されると、△BEFと△CGHの余剰が回復する。 (ウ) 自由貿易地域形成下の貿易利益は、自由貿易下の利益△ABCより大きい。 (エ) 貿易創造効果は□EFGHに等しい。 (オ) 貿易転換効果は△EIJと△HKLの和に等しい。
設問9
下図は、開放経済下におけるマクロ経済モデルを描いたものである。この図に関する次の文章中の空欄【 A 】~【 C 】に入る最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
いま、小国モデル、完全資本移動、固定為替レート制、物価の硬直性、静学的な為替レート予想を仮定する。下図は、これらの前提に基づき、生産物市場の均衡を表すIS曲線、貨幣市場の均衡を表すLM曲線、自国利子率(r)と外国利子率(r*)が均等化することを表すBP曲線を描いたものである。
ここで政府支出が増加すると、IS曲線が右方にシフトし、新たなIS曲線とLM曲線の交点において【 A 】になる。このため、【 B 】が生じる。結果として、【 C 】になる。
【解答群】 (ア) A: 国際収支(経常収支と資本収支の合計)が赤字 B: 外貨準備の減少と貨幣供給の減少 C: LM曲線が左方にシフトして国際収支の均衡が回復するが、財政政策は景気拡大に無効 (イ) A: 国際収支(経常収支と資本収支の合計)が黒字 B: 外貨準備の増加と貨幣供給の増加 C: LM曲線が右方にシフトして国際収支の均衡が回復し、財政政策は景気拡大に有効 (ウ) A: 国際収支(経常収支と資本収支の合計)が黒字 B: 円高 C: LM曲線が左方にシフトして国際収支の均衡が回復するが、財政政策は景気拡大に無効 (エ) A: 経常収支が黒字 B: 外貨準備の増加と貨幣供給の増加 C: LM曲線が右方にシフトして経常収支の均衡が回復し、財政政策は景気拡大に有効 (オ) A: 資本収支が赤字 B: 円安 C: LM曲線が右方にシフトして資本収支の均衡が回復し、財政政策は景気拡大に有効
設問10
下図は、ケインズ派モデルにおける総需要曲線(AD)と総供給曲線(AS)を描いたものである。ここで、供給サイドにおいては、物価は上下に伸縮的であるが、名目賃金は硬直的であると考える。下記の設問に答えよ。
(設問1)
総需要曲線の説明として最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a | 経済が「流動性のわな」の状態にあるとき、総需要曲線は垂直に描かれる。 |
b | 増税は総需要曲線を右方にシフトさせる。。 |
c | 投資の利子弾力性が大きいほど、総需要曲線はより急勾配に描かれる。 |
d | 物価の下落は、実質貨幣供給の増加を通じて利子率を低下させ、投資の拡大と総需要の増加をもたらす。 |
【解答群】 (ア) aとb (イ) aとd (ウ) bとc (エ) bとd (オ) cとd
(設問2)
総供給曲線の説明として最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a | エネルギーなどの原材料費の上昇は。総供給曲線を左方にシフトさせる。 |
b | 技術進歩は生産性の上昇を通じて総供給曲線を右方にシフトさせる。 |
c | 人口構成の少子化・高齢化に伴う労働市場の変化は、総供給曲線を右方にシフトさせる。 |
d | 物価の上昇は、実質賃金の上昇を通じて労働需要を増加させ、生産量の拡大を生じさせる。 |
【解答群】 (ア) aとb (イ) aとc (ウ) aとd (エ) bとc (オ) bとd