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平成15年度1次試験解答:経済学・経済政策

設問1

解答:イ

 外形標準課税とは、事業所の床面積や従業員数、資本金等及び付加価値など外観から客観的に判断できる基準を課税ベースとして税額を算定する課税方式のことである。
 そもそも法人事業税は、法人の行う事業そのものに課される税であり、企業はその活動を行うにあたって地方自治体から各種の行政サービスの提供を受けている。このためこれに必要な経費を分担すべきであるという考え方にもとづく税である。必要な経費の分担という意味において所得のみを基準とする従来の方式に は問題があり、法人の事業の規模ないし活動量を基準に課税するという外形標準課税が求められた。

【解答群】
(ア) 外形標準課税が一部の地方自治体で、高い税率で導入された場合、当該地域への企業の進出を阻害する恐れがある。
→○:一部の地域のみでの課税の強化は、当該地域への企業の進出を阻害する恐れがある。
(イ) 外形標準課税の課税標準については、所得水準を基準としている。
→×:外形標準課税は、法人税や法人事業税のように企業の所得を課税標準とするのではない。
(ウ) 外形標準課税の導入については、一部の業界への狙い撃ちという批判がある。
→○:東京都が特定の銀行のみを課税対象とした為に、一部の業界への狙い撃ちという批判が起こった。
(エ) 地方自治体で検討されている外形標準課税の導入は、地方財源の安定化を目的としている。


→○:法人所得が景気変動に影響され変動するために財源としては不安定であり、安定的な自主財源が地方分権にとって不可欠である。


よって解答はイである。

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設問2

解答:ア

<平成14年度版 年次経済財政報告書  第3−2−13図 家計保有金融資産の国際比較より引用 >


<平成14年度版 年次経済財政報告書  第3−2−14図 企業部門の資金調達の国際比較より引用 >

 日本の家計部門の金融資産保有状況をみると、安全資産に偏っており、リスク資産の比率は極めて低い。よって日本の家計保有金融資産構成比はAである。
 また、アメリカの企業部門は借入が少なく株式・出資金の資金調達比率が高いことからアメリカの企業部門の資金調達構成比はCである。
 よって解答はアである。

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設問3

解答:ア

 産業空洞化とは、国際競争力の優劣を背景として、生産拠点の海外移転が進むか、または製品の国内供給が輸入依存型に転換することによって、国内における雇用機会の喪失、技能ノウハウを生む生産現場の劣化、貿易黒字を生む国際競争力の減退・喪失といった悪影響が生じる現象のことである。

 すなわち対外直接投資は積極的に行われるが、国内設備投資額は減少しているものはアである。

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設問4

解答:ア

1960年代以降、全要素生産性の伸びが、この国の産出量成長を牽引している。
→○:全要素生産性とは生産の増加のうち、労働や資本と言った生産要素の増加で説明できない部分の増加を計測したもので、通常は「技術進歩の進捗率」を示すものとされる。すなわち最右の(1)−(2)−(3)が全要素生産性に該当する。全要素生産性は他の項目より伸びが大きい。
長期的に見て、この国の成長が減速した最大の要因は、労働の伸びが停滞したことである。
→×:労働の寄与率はもともと低いため、一概にそうとはいえない。
1990年代に、この国の成長が減速した最大の要因は、全要素生産性の伸びが停滞したことである。
→○:3.2%から0.8%に大きくおちこんでいる。
この国の成長に、各年代で一貫して最も寄与しているのは資本ストックの伸びである。
→×:1951−1960以外は資本ストック以外の項目が寄与している。
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設問5

解答:ウ

(ア) コンドラチェフの技術進歩循環→設備投資循環→在庫循環
→×:コンドラチェフの技術進歩循環(50年)→設備投資循環(10年)→在庫循環(2〜4年)
(イ) 在庫循環→コンドラチェフの技術進歩循環→設備投資循環
→×:在庫循環(2〜4年)→コンドラチェフの技術進歩循環(50年)→設備投資循環(10年)
(ウ) 在庫循環→設備投資循環→コンドラチェフの技術進歩循環
→○:在庫循環(2〜4年)→設備投資循環(10年)→コンドラチェフの技術進歩循環(50年)
(エ) 設備投資循環→コンドラチェフの技術進歩循環→在庫循環
→×:設備投資循環(10年)→コンドラチェフの技術進歩循環(50年)→在庫循環(2〜4年)
(オ) 設備投資循環→在庫循環→コンドラチェフの技術進歩循環
→×:設備投資循環(10年)→在庫循環(2〜4年)→コンドラチェフの技術進歩循環(50年)
発見者名 景気循環名 景気循環の原因 平均周期
キッチンの波 短期循環 在庫投資 2年から4年
ジュグラーの波
中期循環 設備投資 10年
クズネッツの波 長期循環 住宅・建設投資 20年
コンドラチェフの波 長期波動 技術革新や戦争 50年

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