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平成25年度1次試験問題:企業経営理論

設問26

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
 清涼飲料水の中のあるカテゴリは、年間を通して様々な機会に私たちが楽しむ飲み物としてすっかり定着している。その生産量もこの10年あまりの期間に10 倍以上にも増加した。他の主要な飲料カテゴリと比較しても群を抜く伸びである。飲料メーカーX社は年後を目途にこのカテゴリへの新規参入を検討している。
それに先駆けて、X社のマーケティング部門では、@このカテゴリの製品市場における市場占有率J金額ベースKについてのデータ分析を行った。それをもとに、
Aこの市場の上位メーカーへの集中度がどのような状態になっているのかを検討することにした。この時のデータを簡易的に整理したものが下表である。表中の「その他」を分解してみると、30 社がそれぞれ 1% ずつの市場占有率を持つ構図が見られる。

(設問1)
 文中の下線部@に示す「市場占有率」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) X社が参入を検討している製品市場での上位5社による累積占有率は70%に達している。この市場で第4位に位置するD社の占有率は10 %である。これをいわゆるプロダクト・ポートフォリオ・マネジメントでの相対シェアとして換算すると0.55 となる。
(イ) 寡占度が高い市場では、追随者JフォロワーKとしての新規参入が比較的容易である。
(ウ) 国内のある製品市場においての個別メーカーによる金額ベースの市場占有率を算出するためには、a:「自社の当該製品の国内向け出荷額」、b:「当該製品に関する国内の全事業者による出荷額」、c:「当該製品に関する海外への輸出額」を用いる。算出式は、市場占有率J%K暗虻a/Jb袷cK 飴庵100 となる。
(工) 表中のE 社はこのカテゴリにおいて極めて差別化水準の高い新製品を開発し、高価格の小売形態を中心とする販売経路政策を通じて、価格プレミアム化に成功した。このことから、出荷数量ベースでの同社の占有率は、売上高ベースのそれと比べて低い値となっている。

(設問2)
 文中の下線部Aに示されているように、X社のマーケティング部門はこの飲料水カテゴリの製品市場への新規参入に向けた検討を重ねている。その一環としてハーフィンダール指数の算出を行った。その算出結果として、最も近いものはどれか。

【解答群】
(ア) 約0.05
(イ) 約0.12
(ウ) 約0.33
(工) 約0.50

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設問27

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 ある金曜日の夕方、機械部品メーカーの2代目経営者のYさんは取引先とのミーティングを終えると足早に家電専門店チェーンの大型店舗に立ち寄った。この店舗は駅に隣接したショッピング・センター(SC)のテナントとして出店している。
 Yさんは、取引先が国際展開をしていることがきっかけで自社の創業以来はじめて海外市場へのアプローチに着手した。海外のエージェントとのリアルタイムの会議を円滑に行うために、翻訳機能付きの電子手帳の購入を検討している。
 いくつかの商品を比較している最中に、Yさんのスマートフォンにe メールが送られてきた。この家電専門店チェーンのウェブ店舗からのものだった。メールをあけてみると、数日前にYさんがスマートフォンを使ってこの小売業者のウェブ店舗で検索し、「お気に入りJbookmarkK」に登録していた電子手帳の詳細情報が記載されている。また、このSC内店舗での売場の位置と@実際にこの商品を購入し、使用している消費者によるレビューが紹介されている。メールを見ながら売場に移動し、この電子手帳を手に取ってみるとYさんが今必要としている機能が満載の商品であることが分かった。
 Yさんはおもむろにこの商品の型番をスマートフォンに入力し、検索をかけてみた。すると、別の家電専門店のウェブ店舗では全く同じ商品が5,000 円安い価格で販売されていることが分かった。Yさんは、早速この電子手帳をスマートフォンサイト経由で注文し、クレジットカードで決済した。また、このネットショッピングでAYさんは購入額の10 % のポイントを獲得した。日曜日の朝、Yさんは電子手帳を受け取り、あれこれ操作を試し、海外エージェントとのミーティングで想定されるフレーズを学習した。

(設問1)
 文中に示すYさんの行動に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) YさんはSC内の家電専門店チェーンの店舗に立ち寄った際にこのチェーンのウェブ店舗からe メールを受け取ったことで、AIDMAでいえばM(Memory)にあたる内容を活性化することができた。
(イ) Yさんは金曜日の夕方にSC内の家電専門店チェーンの店舗に立ち寄る前に、このチェーンのウェブ店舗で翻訳機能付きの電子手帳を網羅的に検索していたので、買い物出向前に明確なブランドの選好マップが形成されていたといってよい。
(ウ) Yさんは店頭で受け取ったe メールを読むとすぐさま商品関連情報を検索し、電子手帳の購買にいたる意思決定を行った。この一連の流れの中でYさんはコミュニケーションに対する消費者の反応(購買)プロセスモデルのひとつであるAISASに含まれるすべてのステップを踏んでいたといえる。
(工) 今回のYさんの電子手帳の購買プロセスの一部にも見られたような、「実際の店舗で商品の実物展示を体験してから、より低い商品価格と消費者費用で同じ商品を購入することのできるウェブ店舗を探してそこで購買を行う」タイプの行為は一般にブラウジング(browsing)といわれている。

(設問2)
 文中の下線部@に示す「消費者によるウェブ上のレビュー」は、情報化時代におけるある種の口コミとしてとらえることができる。顧客満足と口コミに関する記述として、最も適切なものどれか。

【解答群】
(ア) Yさんが最終的に電子手帳を購入した家電専門店のウェブ店舗では、購入後の返品・交換時の送料や手数料を無料にするサービスを提供している。このサービスは消費者の認知的不協和をできる限り軽減・解消することを意図したものであるといえる。
(イ) 一般に消費者は満足時よりも不満足時に多くの口コミを行うといわれている。とくに消費者による熟知性が高いブランドでは、ネガティブな口コミによって消費者の購買意図が顕著に低下する効果が見られるため注意が必要である。
(ウ) 高水準の顧客満足が実現すると既存顧客の忠誠顧客化による反復購買が行われるようになるだけでなく、満足顧客による口コミが新規顧客の獲得を支援するようになる。新規顧客獲得費用は既存顧客の維持費用よりも一般的に低いため、企業は積極的に優良顧客による口コミの影響を活用することが望ましい。
(工) 顧客満足の理論によれば、顧客満足・不満足の程度は事前の期待度とは関係なく、対象商品の品質の良しあしの水準によるという点が強調されている。

(設問3)
 文中の下線部Aは、セールス・プロモーションJSPKに関連する記述である。SPに関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 1970 年代までは日本のメーカーにおいてSP費が広告費を上回る状況が続いていたが、この30年間に数多くの企業がグローバル企業へと成長したこともあり、両者の比率が逆転している。
(イ) Yさんが以前に同じ家電専門店チェーンの実店舗でスマートフォンを購入した際、専用ケースをおまけとして受け取った。この種のSPは長期的なブランド忠誠の醸成を支援する効果を持つ。
(ウ) 購買金額の一定割合が付与されるポイントサービスは、主として将来の値引きを約束するSPであり、顧客の再来店を促す役割を果たしている。
(工) メーカーによるインセンティブは消費者のみをターゲットとしており、具体的な活動には特売価格の提供、景品コンテスト、サンプリング、POP 広告などがある。

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設問28

 Z氏はラーメン店のチェーン経営を行う人物であり、現在フランチャイジングを用いた海外市場への進出を計画している。「フランチャイジング」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) Z氏の海外市場への進出においては、現地企業と合弁で現地本部を設立し、まずはこの現地本部との間でマスター・フランチャイジング契約を結び、そして、現地本部と他の事業者との間でサブ・フランチャイジング契約を結ぶ方法も選択肢のひとつである。
(イ) Z氏のラーメン店チェーンの国内の本部が進出先国でフランチャイジング参加の募集をかけ、現地事業者と直接フランチャイジング契約を締結する形態もZ氏がとりうる進出方法のひとつである。この方法はダイレクト・マーケティングと呼ばれる。
(ウ) フランチャイジングとはフランチャイジーと呼ばれる事業者がフランチャイザーと呼ばれる他の事業者との間に契約を結び、フランチャイザーに対して同一のイメージのもとに事業を行う権利をフランチャイジーが有償で与えるものである。
(工) フランチャイジングを用いたチェーンストアオペレーションは、コーポレートチェーンと呼ばれており、一般的に事業の国際化にあたって積極的に活用されている。

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設問29

 次の文中の空欄【 A 】〜【 D 】に入る語句の組み合わせとして最も適切なものを、下記の解答群から選べ。

 P氏はある酒屋の4代目として店を継ぐことになった。3代目からも聞いていたとおり、この店がある商店街は一昔前と比べると活気がなくなっている。
  P氏は自分の店の活性化策として【 A 】ブランド商品を品揃えの中核に据え、贈答用の小物や日常的に使用できる気の利いた雑貨もそのラインアップに加えた。美術大学で産業デザインを学び、コンテスト入賞経験を持つP氏は仕入れた商品に装飾を施すなど、【 B 】加工による独自の付加価値づくりを重視し、地域の消費者のギフト需要を吸収するようになっていた。
  P氏はさらに先代の時代から懇意にしていた取引相手である中小の地方酒造メーカー数社の同世代経営者と連携を深めていく。P氏は商店街の懸賞企画の一環で地域消費者の家庭での食生活や外食の嗜好についての大規模なアンケート調査を実施した。その結果、この地域市場には飲食料品の消費について明確な消費者クラスターが存在することが分かった。
  これを踏まえ、P氏は各酒造メーカーと原材料段階までさかのぼった共同商品開発に着手し、4種類の日本酒を【 A 】ブランド商品として導入した。その際、作り手の顔が見えるように、それぞれの酒造メーカーの企業名も併記する形のブランド名称を採用した。このようなブランド表記はダブル【 C 】と呼ばれる。P氏はこれら特異な商品を自店の【 D 】ブランドとして、商店街活性化のために活用しようと考えた。そして、地域の飲食店への卸売もスタートした。

【解答群】
(ア) A:地域   B:流通   C:マーク   D:ラグジュアリー
(イ) A:ナショナル   B:意匠   C:マーク   D:小売店舗
(ウ) A:プライベート   B:意匠   C:マーク   D:ストア
(工) A:プライベート   B:自家   C:コンテンツ   D:小売事業
(オ) A:プライベート   B:流通   C:チョップ   D:ストア

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設問30

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 T社は大手自動車メーカーのアルミ部品などを製造する中小サプライヤーである。近年、製品納入先である自動車メーカーの販売動向が様々な政治・経済・社会的要因によって相当の影響を受け、その余波がT社に及ぶことが頻繁になってきている。
  そこで、T社ではこの自動車メーカーに対する販売先依存度を下げるために、主体的に市場創造を行うべく、消費財分野への参入を図っている。具体的には世界最高水準といわれるアルミ加工技術を活用した鍋、やかんや食器、さらにはアルミ製の台所棚などの製品系列を開発している。この消費財分野での@営業組織の編成はまだ準備段階にあるが、これらの製品を購入した顧客の満足度は非常に高いことが購入後のフォローアップ調査で明らかになっている。
  T社は現在、強い決意で消費財部門を第二の柱として強化するための喫緊の課題として営業体制づくりを行っているが、産業財メーカーとしてはじめての消費財分野への参入であるため、A営業管理のあり方について様々な議論を行っている。

(設問1)
 文中の下線部@に示す「営業」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 営業の目的は、製品・地域・取引相手のタイプといった区分で新規顧客を獲得することである。
(イ) 営業は、マーケティング・ミックスのプロモーション活動に固有に含まれる人的販売のことである。
(ウ) 企業の事業活動が国境を越えて展開されるにつれて、営業活動内容の複雑さは逓減していく。
(工) 個々の営業パーソンに対する顧客の評価は、企業信頼と人格信頼の両者によって支えられている。

(設問2)
 文中の下線部Aについて、T社における消費財部門の営業管理のあり方に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 消費財部門では営業組織の強化はあきらめ、訪問販売を行うにとどめる。
(イ) 消費財部門の拡大によって組織全体としての営業人員が不足するが、固定費の増加を防止したいので、産業財部門の最も熟練した営業パーソンを消費財部門に配置転換する。
(ウ) 消費財部門は全く新しい分野であるため、発想の柔軟な若手営業パーソンをこの部門に配置転換し、一部インセンティブ制の報酬を固定給に上乗せ可能な制度を設ける。
(工) フリーランスの営業パーソンと契約し、完全歩合制の営業管理を徹底し、販売経路の幅を広げることに注力する。

 

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