平成22年度1次試験解答:企業経営理論
設問1
解答:オ
(オ) | 高い品質で知られる中堅部品メーカーでは、収益性をさらに高めるべく、手間とコストのかかる品質検査を公的検査機関に依頼するとともに、賃金の高い熟練技術者に代わって若手従業員を新規に雇用し、個々の業績評価を賃金に連動させるように人的資源戦略を転換した。
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設問2
解答:エ
(工) | 創業間もない中小化粧品メーカーでは、肌に潤いを与える希少な天然素材を活用した高価な基礎化粧品に絞り込んで、全国的な広告宣伝と大手百貨店や量販店への出店を目指してる。 ⇒○:創業間もない中小化粧品メーカーは、経営資源が乏しいと考えられる。その段階で、全国的な広告宣伝と大手百貨店や量販店への出店を目指すのは負担が大きく困難である。 |
設問3
解答:ウ
(ア) | 業界に普及している汎用設備の導入を進めて、資本装備率の向上を目指している。 ⇒×:業界に普及している汎用設備の導入を進めても、企業が生産技術にかかわる固有能力を維持したり構築することは不可能である。 |
(イ) | 現場からの改善提案のうち、全社QC大会で表彰を受けたものだけを実行している。 ⇒×:全社QC大会で表彰を受けたもの以外でも価値のある改善提案は実行するべきである。 |
(ウ) | 現場への新人の投入時に技術指導を中心に導入教育にも時間をかけている。 ⇒○:新人への技術指導などの教育を重視することは、企業が生産技術にかかわる固有能力を維持したり構築するために有効である。 |
(工) | 自社の生産技術を守るべく、生産部門での人事異動も新規採用も行わないことにしている。 ⇒×:人事異動も新規採用も行わない場合、企業が生産技術にかかわる固有能力を維持したり構築することは不可能である。 |
(オ) | 他社の優れた生産技術を積極的に導入して自社技術を常に一新するようにしている。 ⇒×:自社技術を常に一新していたのでは、自社の技術に継承性がなくなる。その結果、企業が生産技術にかかわる固有能力を維持したり構築することは不可能である。 |
設問4
解答:オ
(オ) | 中央研究所を見直して担当を開発研究に絞り込み、外部と取引や技術交流のある生産技術部門や営業部門に基礎研究を移管している。 ⇒×:通常、中央研究所では基礎緊急を行なう。また、生産技術部門や営業部門は応用研究を行なう。 |
設問5
解答:ア
(ア) | 企業価値は株式時価を中心に測定されるが、株価は企業が直接操作できない証券市場で形成されるため、企業価値は具体的な数値目標で表される目的にはなりにくいので、株価にとらわれない自社のビジョンに基づく経営を維持するべく上場を廃止する例が見られるようになった。 ⇒○:株価は偶発的な要素に左右されることが多く株式の時価総額を企業経営を運営する指標とすると様々な問題が発生しうる。そのため、経営陣がTOB(株式公開買付け)を実施して自社株式を買収し非上場とする例が見られるようになった。 |
(イ) | 企業の利益極大化の追求は、納品業者や販売業者さらには労働者に厳しいコスト削減を強いることになるので、利益計画は公表しないことにしている。 ⇒×:株式上場企業の場合、投資家への情報公開の一環として利益計画は開示する必要がある。 |
(ウ) | 長期の不況の中で賃金コストの抑制が図られ、安価な労働力として非正規雇用が増えたが、企業は雇用不安を抑えるべく、近年ではワークシェアリングを盛んに導入している。 ⇒×:長期の不況の中で賃金コストの抑制が図られ、安価な労働力として非正規雇用は増えた。しかし、ワークシェアリング(従業員1人当たりの労働時間を減少することで、雇用水準を維持する政策手法)を導入する動きは一部である。 |
(工) | 日本では同業者間で同質な技術や商品の開発競争が激化しやすく、その競争を一挙に海外でも展開する傾向があり、集中豪雨的な進出として批判されることがあるばかりか、技術力の低下が起こっている。 ⇒×:同業者間で同質な技術や商品の開発競争が激化した結果、製品技術力,生産技術力の上昇が起こった。 |