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平成22年度1次試験解答:経営法務

設問1

解答:ア

■会社法 第60条(設立時募集株式の割当て)

  1. 発起人は、申込者の中から設立時募集株式の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割り当てる設立時募集株式の数を定めなければならない。この場合において、発起人は、当該申込者に割り当てる設立時募集株式の数を、前条第3項第二号の数よりも減少することができる。
  2. 発起人は、第58条第1項第三号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる設立時募集株式の数を通知しなければならない。

 発起人は、申込者の中から株式の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割当てる株式の数を定めなければならない。この場合において発起人は申込者に割当てる株式の数を引受申出の数よりも減少することができる。(会社法第60条 1項)。すなわち発起人は誰に何株を割当てるかを原則として自由に決めることができる。(割当て自由の原則)。

 したがって、発起人はBとDに引き受けてもらうのが最も望ましいと考えているのであるからBとDにのみ株式を割当てているアが正解である。

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設問2

解答:エ

友人の希望は次のとおりである。

  1. 株主総会で決議できる事項を制限したい
  2. 代表取締役社長の決定で大部分の業務執行を行えるようにしたい
  3. 当初の役員の人数は必要最小限としたい
1の条件を満たすためには

会社法 第295条 (株主総会の権限)2項より取締役会設置会社である必要がある。

■会社法 第295条 (株主総会の権限)
1.株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。
2.前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
3.この法律の規定により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役、執行役、取締役会その他の株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない。

2の条件を満たすためには

取締役会設置会社では代表取締役を設置しなければならない。また日常的な大部分の業務遂行は代表取締役の決定で行なうことができる。

■会社法 第362条 (株主総会の権限)
3.取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。

3の条件を満たすためには

取締役は三人以上必要である。

■会社法 第331条 (取締役の資格等)
4.取締役会設置会社においては、取締役は、三人以上でなければならない。

取締役会設置会社では原則として監査役を設置する必要がある。

■会社法 第327条 (取締役会等の設置義務等)
2.取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。ただし、公開会社でない会計参与設置会社については、この限りでない。

したがって、エが正解である。

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設問3

解答:エ

【解答群】
(ア) 下線部@
⇒×:破産手続において全ての資産を金銭に換価して配当に充てることはできない。破産法では、破産者の生活状況に応じた財産の存在は認められる。
(イ) 下線部A
⇒×:会社更生手続は、株式会社にのみ適用される。すなわち会社法上の会社全部に適用されるものではない。
(ウ)

下線部B
⇒×:民事再生手続においても管財人とい う制度は存在する。

■民事再生法64条(管理命令。)。
1.裁判所は、再生債務者(法人である場合に限る。以下この項において同じ。)の財産の管理又は処分が失当であるときその他再生債務者の事業の再生のために特に必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、再生手続の開始の決定と同時に又はその決定後、再生債務者の業務及び財産に関し、管財人による管理を命ずる処分をすることができる。
(エ) 下線部C
⇒○:正しい。

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設問4

解答:イ

従業員A: 労働契約承継法第2条(労働者等への通知)1項より通知が必要となる。
従業員D: 労働契約承継法第2条(労働者等への通知)1項より通知が必要となる。

■労働契約承継法第2条(労働者等への通知)
会社(株式会社及び合同会社をいう。以下同じ。)は、会社法第五編第三章及び第五章の規定による分割(吸収分割又は新設分割をいう。以下同じ。)をするときは、次に掲げる労働者に対し、通知期限日までに、当該分割に関し、当該会社が当該労働者との間で締結している労働契約を当該分割に係る承継会社等(吸収分割にあっては同法第七百五十七条に規定する吸収分割承継会社、新設分割にあっては同法第七百六十三条に規定する新設分割設立会社をいう。以下同じ。)が承継する旨の分割契約等(吸収分割にあっては吸収分割契約(同法第七百五十七条の吸収分割契約をいう。以下同じ。)、新設分割にあっては新設分割計画(同法第七百六十二条第一項の新設分割計画をいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)における定めの有無、第四条第三項に規定する異議申出期限日その他厚生労働省令で定める事項を書面により通知しなければならない。

1.当該会社が雇用する労働者であって、承継会社等に承継される事業に主として従事するものとして厚生労働省令で定めるもの
2.当該会社が雇用する労働者(前号に掲げる労働者を除く。)であって、当該分割契約等にその者が当該会社との間で締結している労働契約を承継会社等が承継する旨の定めがあるもの

従業員B: 労働契約承継法第2条(労働者等への通知)2項より通知が必要となる。

■労働契約承継法第2条(労働者等への通知)
会社(株式会社及び合同会社をいう。以下同じ。)は、会社法第五編第三章及び第五章の規定による分割(吸収分割又は新設分割をいう。以下同じ。)をするときは、次に掲げる労働者に対し、通知期限日までに、当該分割に関し、当該会社が当該労働者との間で締結している労働契約を当該分割に係る承継会社等(吸収分割にあっては同法第七百五十七条に規定する吸収分割承継会社、新設分割にあっては同法第七百六十三条に規定する新設分割設立会社をいう。以下同じ。)が承継する旨の分割契約等(吸収分割にあっては吸収分割契約(同法第七百五十七条の吸収分割契約をいう。以下同じ。)、新設分割にあっては新設分割計画(同法第七百六十二条第一項の新設分割計画をいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)における定めの有無、第四条第三項に規定する異議申出期限日その他厚生労働省令で定める事項を書面により通知しなければならない。

2.当該会社が雇用する労働者(前号に掲げる労働者を除く。)であって、当該分割契約等にその者が当該会社との間で締結している労働契約を承継会社等が承継する旨の定めがあるもの

従業員C:

承継される事業に主として従事する労働者に該当しない。またCの労働契約は乙社に承継されない。したがって通知は不要である。

よってイ(A、B、D)が正解である。

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設問5

解答:ウ

既存の有限会社は、会社法の特例として、期間制限なしに、存続することが認められる。会社法上で、存続が認められる有限会社は、特例有限会社と呼ばれる。

【解答群】
(ア) 御社の場合、取締役会を設置することはいつでもできますが、設置するメリットはないと思います。
⇒×:特例有限会社は、取締役会を設置することはできない。
(イ) 増資を行う場合、誰に割り当てるかは代表取締役のあなたが自由に定めることができますから、あなたに割り当てることにすれば、あなたの持株数を簡単に増やせます。
⇒×:増資を行う場合には株主総会の特別決議等が必要であり、代表取締役が自由に定めることはできない。
(ウ) 特例有限会社から株式会社に組織変更し、X株式会社という商号を使用するには、定款変更の手続をとって、商号を変更して、それを登記すれば足ります。
⇒○:特例有限会社を通常の株式会社に変更することは可能である。。この場合、特例有限会社という名称で呼ばれていても、すでに会社法上の株式会社である。したがって、組織変更する必要はなく、商号の変更(○○有限会社→○○株式会社)についての定款の変更を株主総会において決議し、特例有限会社の解散の登記申請と株式会社の設立の登記の申請を同時に行えばよい。
(エ) 特例有限会社の取締役の任期は10年までに制限されていますから、任期が満了するときにはまた取締役を選び、登記をしないといけません。
⇒×:特例有限会社の取締役の任期に制限はない。

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