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平成17年度1次試験問題:経営法務

設問11

 2005年8月1日に締結された保証契約に関する次の記述のうち、 最も不適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア) 一般の保証契約は書面で契約をしなくても効力を生ずるが、貸金等根保証契約は、 書面で契約しないと効力がない。
(イ) 貸金等根保証契約が連帯保証としてなされたときは、債権者は主たる債務者に弁済の資力があっても、保証人の財産を差し押さえることができる。
(ウ) 貸金等根保証契約は、極度額を定めなければ効力を生じない。
(エ) 民法第465条の2で定める貸金等根保証契約とは、根保証契約のうち、主たる債務の範囲に、金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることにより負担する債務を含み、かつ、個人を保証人とするものをいう。

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設問12

 契約当事者の双方に債務が発生する契約を、「双務契約」という。民法上の典型契約について、契約の名称と各当事者が負う債務の組み合わせとして、最も不適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア)請負契約
  (請負人)労務の提供   (注文者)報酬の支払
(イ)賃貸借契約
  (賃貸人)目的物を使用収益させること   (賃借人)賃料の支払
(ウ)売買契約
  (売 主)財産権の移転   (買 主)代金の支払
(エ)有償委任契約・有償準委任契約
  (受任者)法律行為や事務の処理   (委任者)報酬の支払

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設問13

 米国法人B社が日本で保有する特許権について、A社とB社は特許ライセンス契約を締結している。その契約に次の条項があるときの、法律関係に関する記述のうち最も不適切なものはどれか。
「Article○Exclusive License
The Lieensor grants to the Licensee the exclusive right、without the right to grant a sublicense、to use the Patents for the Products inJapan」

【解答郡】
(ア) A社が当該特許権の実施を許諾された製品の範囲は、この条項だけでは判断できない。
(イ) A社に独占的実施権を許諾した範囲において、B社が自ら当該特許権を実施できるか否かはこの条項だけでは判断できない。
(ウ) A社は当該特許権を日本において独占的に実施する権利を許諾されており、B社はA社以外の第三者に対し、当該特許権を日本において実施することを許諾できない。
(エ) この条項のもとでは、A社は当該特許権をB社の同意なく第三者に実施許諾することはできない。

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設問14

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
 コンピュータ・プログラムは、著作権法、特許法、不正競争防止法による保護の対象となる。
 すなわち、ハードウェアとソフトウェアを一体として用いることによるアイデアの実現は【 A 】により、プログラムの設計すなわち特定の機能をどのような処理手順で実現するかに係る設計の部分は【 B 】により、以上に基づき作成されるソースコードは【 C 】により、それぞれ保護の対象となる。
 このうち、著作権法による保護は、コンピュータ・プログラムの【  】を保護するものである。したがって、ある横能を実現するプログラムαがあるとき、これと同じ機能を実現するプログラムβが【 D 】の場合は、プログラムβはプログラムαの著作権を侵害しているということができる。

(設問1)
文中の空欄A、B、Cに入れる語の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア) A: 著作権法・特許法 B: 著作権法・不正競争防止法
  C: 著作権法    
(イ) A: 特許法 B: 著作権法・不正競争防止法
  C: 著作権法・不正競争防止法    
(ウ) A: 特許法・不正競争防止法 B: 特許法・不正競争防止法
  C: 著作権法・特許法・不正競争防止法    
(エ) A: 特許法  B: 不正競争防止法
  C: 著作権法    

(設問2)
文中の空欄Dに最も適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア) 秘密として管理されているプログラムαの技術ノウハウを使用している
(イ) プログラムαと実質的に同一の表現を用いている
(ウ) プログラムαの技術的思想を模倣したものである
(エ) プログラムαよりも後にプログラム著作物の登録がされている

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設問15

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
 研究者である甲氏は、発明した研究成果を事業化するために他の研究者と共同で出資し、株式会社Xを設立した。株式会社Xは、事業会社Aとの共同研究の結果、専業化の目処が立ち、今後の事業展開のための資金が必要となった。一方、研究成果が画期的なものであったため、以前からベンチャーキャピタルが株式会社]へ出資の打診をしてきていた。そこで、社長甲氏は、中小企業診断士であるあなたに、資金調達についてのアドバイスを依頼した。
 中小企業診断士であるあなたは、@「ベンチャーキャピタルからの資金調達だけではなく、共同研究を実施してきた事業会社Aに出資を依頼してみてはどうか。」と提案した。
 また、資金調達の方法としては、A「第三者割当増資を実施した場合、社長の持株シェアが低下するため、Bデットファイナンスの可能性を検討しても良い段階になってきたのではないか。」とアドバイスした。
 さらに、第三者割当増資を実施する場合、「役員、従業月のインセンティブとてCストックオプションの導入も検討しましょう。」と提案し、具体的な資本政策を立案することとした。

(設問1)
 文中の下線部@のベンチャーキャピタルからの資金調達に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア) 証券取引法において、投資事業有限責任組合の組合員への分配は、現金以外に認められていないため、組合員が組合の投資先企業の株式を直接所有することはない。
(イ) 投資事業有限責任組合は、業務執行組合員であるベンチャーキャピタルに運営を一任する制度であるため、他の組合員は組合の投資先に関する情報を入手することは制度上できない。
(ウ) ベンチャーキャピタルが業務執行組合員として運営する投資事業有限責任組合は、組合契約において組合の存続期間が定められており、存続期間が満了した組合は解散する。
(エ) ベンチャーキャピタルと投資を受ける事業会社において締結する投資契約は、投資事業有限責任組合法において、締結すべき内容が定められている。

(設問2)
 文中の下線部Aの第三者割当増資に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア) 証券取引所が定める上場基準では、上場申請日の直前事業年度の末日の翌日から上場日の前日までの間における第三者割当増資は禁止されている。
(イ) 第三者割当増資において、定款に株式の譲渡制限があり、かつ、発行価額が商法上の有利発行であるとみなされる場合に限り、株主総会の特別決議による承認が必要となる。
(ウ) 第三者割当増資は原則として時価で発行することが必要とされているため、検査役の調査を受けた発行価格で実施しなくてはならない。
(エ) 有価証券届出書において、最近事業年度の末日の2年前の日から届出書捷出日までの間における第三者割当増資の取得者は、その氏名、住所等が開示される。

(設問3)
 文中の下線部Hのデットファイナンスの一つである社債発行に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア) 私募債は引受人により、投資家の数を49人以下に限定した「少人数私募債」と専門知識のある適格機関投資家を対象とする「プロ私募債」に分類できる。プロ私募債の引受人には、証券会社、保険会社、銀行、ベンチャーキャピタル等の金融機関が含まれる。
(イ) 社債発行口数が50口以上の場合は、商法にいう社債管理会社を選定する必要がある。
(ウ) 社債は、物的会社である有限会社、株式会社であれば発行することが認められた有価証券である。
(エ) 新株予約種付社債を発行する場合、社債引受人の利便性を向上させるために、新株予約権と社債とを分離することができる新株予約種付社債を発行する必要がある。

(設問4)
 文中の下線部Cのストックオプション制度に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア) 株式交換・株式移転等により、ある会社を完全子会社とした場合、当該完全子会社が発行していたストックオプションは、完全親会社に引き継ぐことができる場合がある。
(イ) ストックオプションは、商法上の規定によれば、原則として、権利行使前に譲渡できる。ただし、その譲渡につき、取締役会の承認を要する旨の決議が行われている場合には、所定の手続きが必要となる。
(ウ) ストックオプションは、人材の確保、従業員の士気の維持・向上に有用であるだけでなく、取引先との提携関係の強化金融機関との協調関係の強化などにも、効果を発揮する場合がある。
(エ) ストックオプションは、とくに有利な条件で第三者に発行することで取得者に潜在的なキャピタルゲインをもたらすが、定款に特段の定めがない場合、取締役会決議で発行できるため、既存株主からの制約を受けずに様々な局面で活用することができる。

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設問16

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
 電子部品の販売を営む株式会社Aは数年前に自社で開発した特許の製品化により業績を伸ばしてきた。また、近年のデジタル家電製品の市場拡大とも相まって、今後数年間も一定の業績が見込まれることから、念願の株式公開についても本腰を入れて取り組むことにした。株式公開に向けた取り組みの第一弾として当社のグループ会社のうち、主力製品の特許を保有し、かつ、製造を行っている株式会社Bを2005年10月1日付けで合併することにした。

(設問1)
 合併に関する以下の記述に関して、最も適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア) 会社が合併をする場合において合併に反対の株主は、合併契約承認のための株式総会において会社に対して買取請求をすることができる。
(イ) 会社が合併をする場合において、消滅会社が債務超過であるときは、合併期日までに増資等を行い債務超過を解消しなければ合併できない。
(ウ) 会社が合併をする場合には、存続会社は新株を発行し資本金を増加しなければならない。
(エ) 簡易合併ができるのは、合併により消滅する会社の株主に支払う合併交付金が最終の貸借対照表の純資産の50分の1を超えず、かつ、消滅会社の株主に発行する新株が、存続会社の発行済株式総数の6分の1を超えない場合に限られている。

(設問2)
 合併により存続会社の株式を消滅会社に割当てる場合には、合併契約書にその割当に関する事項を記載しなければならない。いわゆる存続会社と消滅会社の合併比率といわれるものであるが、この合併比率の算定に当たり、存続会社と消滅会社の株式価額を算定分析することが必要になる。この株式価額の算定方式に関する一般的な記述として、最も適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア) 株式市場において形成された株価、すなわち市場株価を基準とする方式を市場株価平均方式あるいは株式市価法等という。この方式は非公開企業においては類似する公開会社の市場株価を用いて評価するものであり、最も重視すべき評価方式といえる。
(イ) 株式の価値は企業のストックとしての純資産にあると考えるもので、企業に現存する資産・負債を基礎として株式を評価する方式を純資産方式という。この方式は相続税財産評価基本通達に定める方式である。
(ウ) 株式の価値を企業のフローとしてのキャッシュ・フローに基づくと考えるもので、将来獲得しうる各期のキャッシュ・フローを一定の割引率を用いて、その現在価値を求める方式を収益還元方式あるいはデイスカウンテイッド・キャッシュ・フロー方式という。この方式は、企業の将来における税引後の当期利益を長期国債の利回りにより割引計算するため、企業価値を最も適切に算出できる方式である。
(エ) 評価対象会社と類似する特定の公開会社の1株当り利益、純資産等の指標を、評価対象会社のそれと対比させて算定する方式を類似会社比準方式という。この方式は評価対象会社の規模が公開会社に匹敵する場合等において用いられる方式である。

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