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平成15年度1次試験問題:経営法務

設問21

 出版業を営むB 社は、ここ数年業績が悪化し、損失を計上している。B 社の決算書上、資本の部にも欠損金が累積している。そこで、B 社は欠損填補のため、減資を行うことにした。この減資に関する説明として、最も適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア) 資本の減少手続において、会社債権者に対し、資本の減少に異議がある場合には一定の期間内にこれを述べるべき旨等を官報に公告し、かつ、知れたる債権者に各別に通知するといった、いわゆる債権者保護の手続が必要である。
(イ) 資本の減少を行う場合、会社財産の払戻を行う有償減資と会社財産が減少しない無償減資の方法があるが、欠損填補のための資本減少においては、有償減資の方法が必要である。
(ウ) 資本の減少を行う場合には、株式消却を行う必要がある。
(エ) 資本の減少を行う場合には、定時株主総会の決議が必要である。

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設問22

 次の文書を読んで、以下の設問に答えよ。
 W 社は精密機械の製造販売を営む会社である。W 社は毎期一定額以上の利益を計上しているものの、主力製品の需要頭打ちの傾向が見られることから、社長のY 氏は事業の拡大を目指し、商圏の異なるM 社の社長Z 氏に合併の打診を図っていた。 M 社は業界第3位であったが、同社もやはり新製品の開発が遅れ、業績が低迷していたところであり、両社トップによる話し合いは水面下でおおむね合意を得ていた。
 その後、本格的に検討するため、守秘義務契約を締結し、法務面・財務面での【 A 】 を行うこととした。【 A 】の結果、合併にあたり問題点が挙がったものの、 合併までに解決可能であると判断し、手続を進めていくことになった。
 両社長の話し合いにより、××年4月1日を合併期日とし、W 社が合併会社、M社が被合併会社となる吸収合併とすることが合意され、その他株主総会で承認が必要とされる【 B 】 に記載が必要となる【 C 】 に関する事項、合併会社の増加する資本の額及び準備金の額等の詳細について、今後つめていくこととなった。なお、【 C 】 に関しては、第三者である専門家に算定を依頼し、その結果に基づきM 社の株主に対する株式の割当て比率を決定することとした。
 一方で、M 社は土地等の含み益のある資産を保有しており、合併に伴い税務上当該含み益に課税されるのであれば納税資金の準備も必要になることから、当該合併が【 D 】 合併に該当するか否かについて、専門家に相談することにした。

(設問1)
 文中の空欄A〜D に入れる語の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア) A:デューディリジェンス B:合併計画書 C:合併交付金 D:適格
(イ) A:デューディリジェンス B:合併契約書 C:合併比率 D:適格
(ウ) A:法定監査 B:合併計画書 C:合併比率 D:特定
(エ) A:法定監査 B:合併契約書 C:合併交付金 D:特定

(設問2)
 上記合併手続に類似した法的手続として、会社分割があるが、この会社分割に係わる説明として、最も適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア) 会社の営業の全部又は一部を設立する会社に承継する分割を吸収分割という。
(イ) 吸収分割において、営業を承継する会社は、営業を分割する会社に株式を割当てなければならない。
(ウ) 吸収分割における分割契約書には、分割会社の定款を記載しなければならない。
(エ) 新設分割を行うためには分割計画書を作り株主総会の承認を受けなければならない。

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設問23

 メーカーであるT 株式会社を営むA 氏は、昨今の景気の低迷から受注が先細り、将来資金繰りに窮する危険性があることから、かねてより取引のある某金融機関に追加融資を依頼したところ、担保不足を理由に拒絶されてしまった。 そこで、やはりかねてより付き合いのあった中小企業診断士であるX 氏に資金調達の方策について相談したところ、X 氏から以下のアドバイスを得た。

○ T 株式会社は、売掛金の回収期間が業界平均よりも長いため、T 株式会社が【 設問 】を行うことにより資金回収の早期化を図ってはどうか。
○ 取引先・従業員等を引受者とする少人数私募債を発行して資金調達を模索してみてはどうか。
上記各アドバイスの内容に関連して、以下の設問に答えよ。

(設問1)
 文中の空欄に入るものとして最も不適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア) 証券化
(イ) 手形の発行
(ウ) 得意先に対する回収条件の変更要請
(エ) ファクタリングの活用

(設問2)
 少人数私募債制度に関連する説明として最も適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア) 私募債であるためには、社債の購入者は役員・従業員等の個人縁故者に限定する必要がある。
(イ) 社債権者が金融機関等の適格機関投資家を含めて50名未満の場合は、目論見書を作成する必要はない。
(ウ) 社債発行口数が50以上の場合は、商法にいう社債管理会社を選定する必要がある。
(エ) 証券取引法上、社債の発行価額が5億円以上の募集又は売出しの場合には有価証券届出書を財務局長等に提出しなければならない。

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設問24

 次の文章を読んで、以下の設問に答えよ。
 A 国立大学の研究室でバイオテクノロジーの研究をしているT教授は、このたび自分の研究に基づき個人特許を取得した。この特許を利用して研究成果の普及が出来ないかと考えているところへ、知り合いの中小企業診断士のQ 氏から@会社を設立してはどうかと提案された。
 しかし、T 教授は研究に関する知識は持っているが、会社の設立や経営に関しては何もわからない状態であった。そこでA 国立大学のATLO(Technology Licensing Organization)に相談をしたところ、会社の設立には原則として、株式会社で1、000万円、有限会社であっても300万円が資本金として最低限必要であると言われた。上記の最低資本金には特例もあるが、実際に会社を経営していくには、事業の資金が必要であるとのアドバイスを受けた。
 T 教授は会社を設立し、ベンチャー・キャピタルから資金を調達し、株式公開を目指すか、またはTLO を経由して企業に特許の実施権を許諾すべきか慎重に考えた。

(設問1)

 下線部@の「会社を設立」するためには様々な準備が必要となる。株式会社の設立について説明した以下の文章のうち、最も不適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア) 株式取扱銀行に登記簿謄本及び印鑑証明書等を提出して口座を開設する。
(イ) 設立登記の申請を法務局にした後に、定款を作成する。
(ウ) 設立登記の申請を法務局にした後に、登記簿謄本及び印鑑証明書の交付申請をする。
(エ) 設立登記の申請を法務局にする前に、類似商号の調査をしなければならない。

(設問2)
 文中の下線部Aの「TLO」について説明した以下の文章のうち、最も不適切なものはどれか。

【解答郡】
(ア) TLO法とは、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律(略して大学等技術移転促進法)のことである。
(イ) TLOが得た利益は、研究者のみならず大学等に還元されて、さらなる研究資金として活用される。
(ウ) TLO法の目的は、大学等から生じた研究成果の産業界への移転を促進し、産業技術の向上及び新規産業の創出を図るとともに、大学等における研究活動の活性化を図ることにある。
(エ) 承認TLO が出願する特許について、特許料及び手数料の全額が免除される政策支援措置がある。

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