トップページ企業経営理論トップページ過去問題 平成24年度 問題 >平成24年度解答

平成24年度1次試験解答:企業経営理論

設問6

解答:イ

(ア) チャレンジャーは、リーダーの高い技術力が生み出した差別化された製品と同質な製品を販売し、リーダーの差別化効果を無効にすることを狙うべきである。
→×:リーダーは、チャレンジャーの高い技術力が生み出した差別化された製品と同質な製品を販売し、チャレンジャーの差別化効果を無効にすることを狙うべきである。
(イ) ニッチャーは特定の市場セグメントで独自性を発揮できる戦略を遂行して、強い市場支配力を狙うことが必要である。
→○:正しい。
(ウ) フォロワーは特定市場でリーダーの製品を模倣しつつ、非価格競争によって収益をあげることが基本戦略になる。
→×:フォロワーは特定市場でリーダーの製品を模倣しつつ、低価格で提供することによって収益をあげることが基本戦略になる。
(工) ライバル企業に比べて技術力や生産能力に劣るニッチャーの場合、価格競争に重点をおいた販売戦略を幅広い市場で展開することが重要になる。
→×:ライバル企業に比べて技術力や生産能力に劣るニッチャーの場合、価格競争に重点をおかない。またニッチャーは市場を限定して事業展開を図るので、販売戦略を幅広い市場で展開しない。
(オ) リーダーは周辺の需要を拡大することによって、売り上げの増加や市場シェアの拡大を図ることができるが、その反面で新製品の投入を遅らせてしまうことになる。
→×:リーダーは周辺の需要を拡大することによって、売り上げの増加や市場シェアの拡大を図ることができる。
しかし、それにより新製品の投入が遅れることはない。

←問題に戻る

設問7

解答:イ

(ア) 資金の投入によって成長市場で競争優位の実現を期待できる「金のなる木」の選択は重要であり、競争優位性を期待できない「負け犬」事業からは事業担当者へのインセンティブを考慮して撤退を検討する必要がある。
→×:資金の投入によって成長市場で競争優位の実現を期待できる「花形(または問題児)」の選択は重要であり、競争優位性を期待できない「負け犬」事業からは事業担当者へのインセンティブを考慮して撤退を検討する必要がある。
(イ) 戦略事業単位の責任者は、当該事業の成功に必須の技術、製造、マーケティングに関して、計画の範囲内で自由に対処できる。
→○:正しい。
(ウ) 「花形商品」の事業は、「負け犬」ではなく「問題児」の中の特定の事業に対する集中的な投資の主要な資金供給源として重要である。
→×:「金のなる木」の事業は、「負け犬」ではなく「問題児」の中の特定の事業に対する集中的な投資の主要な資金供給源として重要である。
(工) プロダクト・ポートフォリオ・マトリックスの考え方は、外部からの資金調達を考慮して低コスト戦略を重視している。
→×:プロダクト・ポートフォリオ・マトリックスの考え方は、内部資金調達を前提とする。
(オ) プロダクト・ポートフォリオ・マトリックスの考え方は、主として事業の財務面だけではなく、事業間のマーケティングや技術に関するシナジーも重視している。
→×:プロダクト・ポートフォリオ・マトリックスの考え方は、主として事業の財務面だけを重視する。事業間のマーケティングや技術に関するシナジーは無視している。

←問題に戻る

設問8

解答:エ

【解答群】
(工) 社内ベンチャーは、ハンズオン型のベンチャーキャピタルに比べ、新事業に対して親企業の関与する程度は低くなる。
→×:ハンズオンとは、企業買収や投資を行う際に、自ら社長や社外取締役などを派遣し、経営に深く関与するスタイルである。社内ベンチャーとは企業が社内に設置している、あたかも独立のベンチャー企業のように新規事業を行う部門である。したがって、社内ベンチャーの方が親企業の関与する程度は高い。

←問題に戻る

設問9

解答:設問1:エ 設問2:イ

(設問1)

アライアンスとは、複数の企業が互いに経済的なメリットを享受するために、緩やかな協力体制を構築すること。 1つの企業に統合する必要があるM&Aに比べて、時間・資金をそれほど要することなく進めることができ、思惑が外れた場合の解消も容易にできる点で異なる。ただし、緩やかな結びつきであるために、アライアンスを構築した後のコントロールは各企業に委ねられ、シナジー(相乗効果)が当初想定したほど発揮されない場合もある。

(ア) 相手を上回る出資比率を維持して、意思決定の権限を確保することに留意して、それができない場合はアライアンスを見送るようにしなければならない。
→×:アライアンスにおいて相手を上回る出資比率を維持して、意思決定の権限を確保することは必須の課題ではない。
(イ) 互いに連携によって得られる便益とそのために必要な費用を計算すると、信頼が醸成されなくなるので、アライアンスは期待した効果を生みにくくなることに注意しなければならない。
→×:互いに連携によって得られる便益とそのために必要な費用を計算することはアライアンスの意思決定を行う上で当然行うステップである。したがって、信頼が醸成されなくなるので、アライアンスは期待した効果を生みにくくなることに注意しなければならないなどということはない。
(ウ) 提携企業間の人事施策、組織の特性、経営上の価値観などの社風の違いは、相手企業を吸収合併して価値観の一体化を促すことによってしか克服できないことに注意しておくべきである。
→×:相手企業を吸収合併して価値観の一体化を促すことによってしか克服できないわけではない。またそもそも価値観は一体化する必要はない。
(工) 連携が長くなるにつれて互いに心が通い合い信頼が醸成されやすいが、そのことによって取り引きの経済評価が甘くならないように注意しなければならない。
→○:正しい
(オ) 連携の中身やお互いの能力について理解しあうことは重要であるが、手の内を見せすぎることになるので、関係が深くなることは避けなければならない。
→×:連携の中身やお互いの能力について理解しあうことは重要である。手の内を見せすぎることになるので、関係が深くなることは避けなければならないのでは、アライアンスを組むことによって発生しうるビジネスチャンスへの取り組みが弱くなる。
(設問2)
(ア) アウトソーシングの受託者が多くなるにつれて、利害関係や連携方式が複雑になるので、アウトソーシングの調整を担当する部署を設けて機敏な対応を確保するべきである。
→○:正しい
(イ) アウトソーシングの主たる目的である相乗効果や新規事業の創造に結びつくには、実務レベルでの密な意見交換や共同事業を推進するべきである。
→×:アウトソーシングの主たる目的は、自社のコア業務に経営資源を集中し、高い付加価値を生み出すことである。すなわち、相乗効果や新規事業の創造がアウトソーシングの主たる目的ではない。
(ウ) 自社能力の強化に振り向ける資金とアウトソーシングに伴う費用の負担と便益を比較することで、アウトソーシングに踏み切るかどうかの判断をするべきである。
→○:正しい
(工) 受託者の能力不足や非協力的な態度が判明した場合、アウトソーシングの解消や違約による損害賠償を視野に入れてアライアンスの解消を検討するべきである。
→○:正しい
(オ) 独自な能力をもつ受託者からは、共同事業を通じてその能力を学ぶ姿勢をもつように連携関係を強化するべきである。
→○:正しい

←問題に戻る

設問10

解答:設問1:ア 設問2:イ

(設問1)
(ア) 合弁企業では現地のパートナー企業の中国人を董事長と総経理に登用して、本国からの社員の派遣を行わないことによって、中国社会や市場への浸透を図る例が多くなっている。
→×:董事長とは、中国の合弁企業において最高の意思決定機関である。中国人を董事長と総経理に登用することはあるが、管理する為にも本国からの社員の派遣は行われる。
(イ) 富裕層をターゲットに先進国の高品質で高価格の製品を輸出して、ステイタス・シンボルに訴える顕示的な消費を促している。
→○:正しい
(ウ) ボリュームゾーンと呼ばれる巨大な大衆市場向けに、現地生産による低価格商品を投入して、価格競争を挑んでいる。
→○:正しい
(工) 有名ブランドながら、中国人好みのデザインや色彩、ネーミングにこだわったきめ細かい現地向けの商品政策を展開している。
→○:正しい
(オ) 流通販売網を独自に整備し、現地の販売拠点に向けて魅力的な報償制度を設けたり、現地販売員に顧客志向のホスピタリティを訓練しながら売り上げを伸ばしている。
→○:正しい
(設問2)
(ア) 所得の高い先進国で先進的な技術の製品の普及を図り、その製品のライフサイクルにあわせて、次第に所得の低い途上国への輸出を行い、やがて現地生産に切り替えるイノベーション戦略である。
→×:リバースイノベーションに関する記述ではない。過去に日本や欧米諸国がとっていた製品の輸出戦略である。
(イ) 先進国で開発された製品を、途上国の開発拠点で現地向けに開発し直し、現地の生産販売を図りつつ、それを先進国モデルへと進化させるイノベーション戦略である。
→○:リバースイノベーションに関する記述である。
(ウ) 対抗機種の性能を分析したり、それを分解したりして、技術特性を調査することから着手するイノベーション戦略である。
→×:リバースエンジニアリングに関する記述である。
(工) 通常とは逆にサプライヤー側からの開発提案を受け入れて、アセンブラーがサプライヤーと共同で製品開発に取り組むイノベーション戦略である。
→×:リバースイノベーションに関する記述ではない。サプライヤー側(部品メーカー)からの開発提案を受け入れて、アセンブラー(完成品組み立てメーカー)がサプライヤーと共同で製品開発に取り組むことは日本の系列関係ではよく見られる。
(オ) 本国の研究開発部門でユーザーフレンドリーな製品の開発を行い、それを現地に持ち込んで、グローバルにイノベーション成果の普及を図るイノベーション戦略である。
→×:リバースイノベーションに関する記述ではない。ユーザ視点を重視した設計思想である。

←問題に戻る

Copyright(C)Katana All right reserved.